2004.09.28

F1 & Cars & Bike

中国GPの初代優勝者はR.バリチェッロ そして真紅のフェラーリ!

2004 年F1世界選手権シリーズ第16戦は史上初めて中国で開催されました。新設された上海インターナショナル・サーキットで26日、 56周の決勝レースが行なわれ、ポールポジションからスタートしたフェラーリのバリチェッロが前戦イタリアに続き今シーズン2回目の優勝をはたしました。

2位はB.A.R.1ホンダのバトン、3位はマクラーレンのライコネンがはいり、注目の佐藤は最後尾からの追い上げで6位入賞。ホンダ陣営に対抗するため送り込まれたルノーのビルニューブは11位に終わりました。

***中国F1
中国ではじめてのF1グランプリ開催。20万人収容の新設「上海サーキット」は、制限された15万人の観衆で埋め尽くされていました。チケット代が平均月収の2倍という価格にもかかわらず、多くの人々が押し寄せた今回のグランプリ。ここにも急成長を続ける大国中国のパワーと熱さを感じました。昨今の日本で月収の2倍も払って、15万人もの人々が集まることなどあるでしょうか?

そして、そこに集まった熱狂の中で頂点を極めることは、これからの中国自動車市場におけるステイタスを築く近道であることは、誰の目にも明らかでしょう。それに成功したのは今年常勝のフェラーリでした。さまざまな問題により王者シューマッハはもてるポテンシャルを自らつぶしてしまっていた感は否めませんが、最速ラップを残し、はやり王者の刻印を残しました。そして、今期の情勢のまま精彩を欠くわがウィリアムズBMWチームは、マクラーレン・メルセデスの後塵に甘んじ、ルノー、ホンダに続くエンジンメーカー4番目という不本意な結果となりました。これがそのまま、数億の人々のスポーツ車市場の序列にならなければいいのですが・・・そういう違った意味での戦いは、始まったばかりなのですが、昔のように営々と築くことに加え、移ろいやすい情報化社会に生きる人々の心を如何に捉えることができるか。チーム監督の重責は増す一方です。


***上海サーキット
今回の新設された上海サーキットは、世界で最も近代的いや現代的なサーキットといえるでしょう。それはグランドスタンド前のコース上を横切るレストランやプレスルームといった設備上の新規さもさることながら、サーキット自体の設計にあります。
年を経るごとに進化し、戦闘力を高めてゆくF1マシンとレギュレーション変更によるイコールコンディション化は、F1のもつ本来のレースという目的を常に追い求めるものですが、行われるサーキット自体は旧来のものをせいぜい改修するにとどまっていました。今回のこの新設コースでのレースを見ていて印象的だったのは、あちらこちらで行われる抜きつぬかれつのレースそのものであり、最近のF1では見ることの少なくなったバトルシーンです。ピットレーンのコンクリート舗装の仕上がりには若干の問題はあったようですが、とにかく面白いサーキットが誕生したというのが私の感想です。


***王者の威信
予選の第一コーナーでらしからぬスピンをし、エンジン交換してピットスタートした王者シューマッハ。「原因は不明で調査中!」という自らの非を否定したコメントを残した彼でしたが、同じようなスピンを決勝でもしでかした彼に対して、チームの公式見解は「彼のミス」。両方ともドライバーとしては激しいアンダーと戦う場所でのリアが飛ばされるような王者をしてコントロール不可能なオーバー・ブレイク。もしやBSの問題なのかと心配してしまうのは、私のわずかに残るナショナリズムです。決勝では前記のスピンのほか、強引なオーバーテイクの直後にルーティン・ピットインするなど、これ見よがしと思える王者アピールには、ちょっとどうかと思ってしまいました。

確かに彼はすごい。早いしうまいし強い。車自体のポテンシャルもさることながら、決勝に向けてセッティングしてゆく技術、天性の感覚、勝負強さやコンセントレーション能力。それが、彼を「王者」と呼ばせるゆえんであり、常勝の源泉でもあります。しかし、しかしですよ、私にはあの強引とも思えるオーバーテイクに、スポーツマンシップを見つけることができず、小賢しいビジネスマンのほくそえんだ笑顔に見えてしまうのです。確かに彼にも、中国初のグランプリで、彼自身とチーム、そしてスクーデリア・フェラーリを強烈にアピールする大きな使命があったと思いますし、彼の今回の一連のアピールは、その結果だといえます。しかし私が彼にもうひとつ賛同できないのは、もうちょっと違った面、失われつつあるピュアーなスポーツマインドの片鱗が見えてこないことです。F1がスポーツであるからこそ、スポーツである続けることで、多くの感動が生まれ続けるのではないでしょうか?

そんなわけで、やぱりセナは素晴らしいレーサーだったと、今さらながらに思ってしまうのは、ただのおじさんの懐古趣味なんでしょうか?

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