2004.10.05

JAZZ

CONCERT BY THE SEA by Erroll Garner (1955)

今日は小雨模様。春雨は濡れて参っても、秋雨は濡れると風邪引いちゃいます。一雨ごとに、秋は深まります。引き続き、ピアノの秋に・・・まずは、Another taste of Jazzで・・・

以前お話したように、JAZZピアニストって、結構「パウエル派」って呼ばれる人が多いんですよね。その呼び方がいいかどうかは別にして、なかなか聴いただけで誰かって特定しにくい、そういう楽器でもあるんだと思うのです、ピアノって。で、今回ご案内するエロール・ガーナーは、明らかに他の誰でもない、彼独特のものを持ってる、いわゆるワン&オンリーなピアニストです。ただ、ある意味、一般的ないわゆるジャズ・ピアノの雰囲気を期待している方には、なじみにくい音かもしえませんが・・・

彼は生涯譜面が読めなかったらしい。そういえば、有名なテノール歌手のパバロティも譜面読めないと言う話を聞いたことがありますが。で、以前ご紹介したアート・テイタムの後任を務めたりして、やはり他のピアニストとは育った環境も違ってた。もちろん、チャーリー・パーカーなどと競演し(有名なダイヤル版ウェストコースト編)、しっかりバップの洗礼も受けたのですが。流行歌曲を多く取り上げたり、ハッピー一杯、楽しげにスイングする彼のスタイルは、逆に JAZZファンだけでなく、広くそのファンを持つことに成功したのです。「ピアノをオーケストラのように弾く」とよばれる独特の演奏スタイルとともに、「ミスティ」の作曲者としても人気を誇った彼の、カーメルというカリフォルニアにある街でのコンサートの模様を収録したのがこのアルバム。1曲目の「四月の思い出」からもう止まらないノリノリ状態、演奏の途中で彼のパフォーマンスに拍手あり笑いあり、でも4曲目の名曲「枯葉」では、繊細かつダイナミックな彼本来のピアノを聞かせてくれます。録音がモノラルと言うこともあり、ちょっと細かいニュアンスなどがわかりづらいところはありますが、明らかに彼の特徴が伝わってくる名演です。ところで、このカーメルの市長も務めた事のあるクリント・イーストウッドが監督主演した映画に「恐怖のメロディ」という映画があり、その曲とはガーナー作曲の「ミスティ」だったのですが、(匿名の女性から「ミスティをかけて・・・」と電話がかかるあの怖いやつです)これって、このアルバムとなんか関係あるのかな?ニューヨーク・タイムスのオールタイム・ベスト・ジャズアルバムにもなったこのアルバム、最後に司会者に促されて、「ルイ・アームストロングより出来が悪かった」とおとぼけの彼の、朗らかで楽天的でかつジャジーな夜の記録です。


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