2004.10.19

JAZZ

SOMETHI' ELSE by Cannonball Adderley (1958)

「秋です、「枯葉」です、サムシン・エルスです。」と、JAZZファンにはもう説明の余地も無い名盤中の名盤。別名「泣く子も黙るブルーノート1595」というやつです。C・アダレイのリーダーアルバムですが、実質はM・デイビスのアルバムだということも有名な話。で、一曲目の「枯葉」です。数多い同曲名演の中でも傑出の演奏。マイルスおとくいの指鳴らしから始まるこの曲が素晴らしいのは、マラソンセッションを終え、バップからモードへの変化を見せはじめたマイルスと、同じくバップからファンキーへと変貌しつつあったキャノンボールのその変化の過程の織りなす一瞬の美しさではないかと思うのです。すでにモードへの移行を終えたマイルスが、アダレイのリーダーアルバムであることを尊重してインコードでの演奏に終始しつつも、音の狭間に埋め込まれた彼のリリシズム。そして、マイルスからアダレイへの絶妙なタイミングの受け渡し。世の中のものは、我々も含めて全て変化の中にあります。何かが何かに変わる、その瞬間の美しさの交錯と微妙なバランス。季節の変わり目を知らせるように、色づき舞い落ちる枯葉。そんな彼らの歴史を刻んでいるから、余計その美しさが際立つのでしょう。

このアルバムはとにかく、この「枯葉」だけを聞くために所有していてもよいのですが、コール・ポーターの名曲「ラブ・フォー・セール」など、どれをとっても名演ぞろい。ハンク・ジョーンズのピアノは、マイルスのトーンに花を添えるべく、ほんの少し憂いある音色を響かせ、アート・ブレイキーの刻むリズムも、曲調に応じ全く違和感なく淡々とリズムを刻みます。まごうことなく歴史に残る名盤です。

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