2005.09.11

CLASSICS

ベートーベン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 (1806年)

久しぶりにクラシックについてのお話です。暑かった夏も少しずつ緩みはじめ、朝夕は秋の気配を感じるようになりました。秋といえばヴァイオリン・・・の方もいらっしゃるのでは?そこで当サイトのクラシック担当としましては(誰だ?笑)、今日から「3大ヴァイオリン協奏曲(+2曲)」をお届けしようと思います。3大とは、「ベートーベン」「ブラームス」「メンデルスゾーン」、そして個人的な趣味として「パガニーニ」と「チャイコフスキー」。第一夜の今夜はベートーベン、「交響曲の父」と呼ばれていますが、ヴァイオリン協奏曲を鑑賞音楽として確立した、「V.C.の父」ともいえるのではないでしょうか?(全部終わるのはいつになるのでしょう???)

さて、時は1800年頃。生涯にたった1曲のバイオリン協奏曲しか残さなかった彼がこの曲を作ったのは、有名な第5「運命」交響曲や第6「田園」よりも前、生涯に作曲したヴァイオリン・ソナタ全10曲のうち9曲を作った後でした。つまり、ヴァイオリンという楽器を知り尽くした上で、彼の作曲家としての絶頂期にこの曲は作られたことになります。そのせいか、曲全体を通して激しい気迫を感じますが、ヴィオラでもチェロでもないヴァイオリンという楽器のもつ、かの繊細な響きが見事に表現されていて、古典というにはあまりにもモダンでありリアリティに溢れています。正直、甘美さを求める鑑賞音楽には適さないかもしれませんが、静かに目を閉じ、音楽を体中に染み込ませると、さっきまで世界の中心だった自分が、時に激しい風雨にさらされ、時に穏やかな風が吹きぬける大草原のたった一本の草になってしまい、自分が、いえ人間という動物が自然のほんの一部でしかないことを実感します。彼以降、演奏時間40分以上のヴァイオリン協奏曲が作曲されるようになるわけですが、やはりこの曲がスタンダードであることには間違いないでしょう。交響曲がそうであるように。やはりベートーベンは偉大です。

〔CD聞いてみてちょ〕
■ギドン・クレーメル(Vo)マリナー指揮アカデミー室内管(1980)
カデンツァにソ連の現代作曲家シュニトケを使用したクレーメルの演奏は、スリリングで緊張感溢れ、また現代感覚に溢れた名演です。享楽性を一切排除し、きわめて真摯に解釈された演奏は、マリナーの純粋な指揮をベースに、ヴァイオリンとの美しい協奏を奏でます。「ベートーベン=ジャジャジャジャーン」の方に是非聞いていただきたい一枚。

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