2005.10.27

Books

「精鋭集団とは」

PITHECANTHROPUS ERECTUS by The Charlie Mingus Jazz Workshop (1956)

木曜日。今日は午前中に面接を1件しただけで、その他は新規自社企画の雑用に費やしました。単純な作業はやはり向いていないですねぇ、すぐに飽きちゃう。コーヒー飲んだり、事務所内をうろついたり。でも、制作会議を横目で見ながら夕方にはなんとか完了させました。夜は営業会議。戦術の確認と計画的な営業活動をもっと進め、効率を上げないといけません。マーケットは私たちに「Welcomeボード」をかざしているのですから。その後、週一回の社内研修会。今日の御題は「EUC」。いわゆる「学習する組織」とは意味が違いますが、これも学習する組織。そして続けることが肝要ですね。朝からディスプレイをにらみっぱなしだったので、早めに退社しました。

うちの部長はものすごい読書マニア(って言葉はないだろうなぁ)で、私も負けじと本のお話を。最近読んだ本で、「アメリカ海軍SEALs式 鬼の指導力、決断力、実行力」なるものです。なんだかタイトルはものすごいのですが、中身は思ったほど派手な本ではなく、結構タイトにできています。前半など、眠くて困ったほど。で、その本の骨子は・・・

oni.jpg

業務、特にプロジェクトなどをチームもしくはユニットで行う場合、SEALsのように「精鋭集団」で対応したければ、構成員全員に「指導力」「決断力」「実行力」が必要ということを、さまざまな諸要件を交えて物語っています。たとえば、メンバーが任務に集中できるための4つの大前提とは、

1.個人の評価が「任務全体の成否」で決まることをメンバー全員が理解する。
2.全員が仲間であるという意識を徹底する。
3.発見した懸念材料を仲間に知らせる責任があることを理解する。
4.各メンバーの任務への貢献度を正当に評価する。

あるいは、機動的な組織の要件として、

1.直属の部下の数を制限する
2.プロジェクトごとに1名のPLを任命する
3.必要に応じ、専門知識を提供する専門家チームを立ち上げる
4.メンバー相互の信頼関係を育てる
5.ステータス・ミーティングを定期的に行い、全員が状況把握できるようにする
6.連絡系統をシンプルかつ双方向に
7.情報の重要度について判断基準を設ける
8.全員にプロジェクトの全体像を理解させる

などなど、SEALsの実戦模様がなんとなく想像できるだけでなく、私たちの日常業務にも有効な戦略戦術レベルの話があちこちで語られています。

SEALsといえば、たったの7人ほどで、世界一の大国アメリカの国策を左右するほどのミッションをこなす「精鋭集団」です。私たちを取り巻く経営環境と同じく、予測どおりには行かない環境の中で、高度で難易度の高いミッションを確実にこなしてゆく組織集団。なかなかあこがれます。前述したような戦略・戦術レベルの話も参考になるのですが、私が最も素晴らしいなあと思ったのは、彼らを動かしている高いモチベーションの源が、ただ「栄誉」のためであるということです。経済が何よりも最優先される現代であることは、共産主義のはずの隣国の現状を見ても明らかです。そんな時代にあって、むしろ武士道、あるいは儒教のような精神論は、なかなか魅力的です。もちろん、「特攻隊」のようなただの精神論一辺倒では、この多元化・多様化した価値観の現代では、玉砕あるのみですが、科学的な戦略戦術に情報力という油をしっかり差して、その上でメンバー全員が毅然と強敵に立ち向かえる精神力を持ちえることは、組織のリーダーとしてはこの上ないことになります。やはり、「志は高く」ですね。

今夜は怒れるミンガスの代表作「直立猿人」。アルトにマクリーン、テナーがJ.R.モントローズ、ピアノはマル、太鼓がウィリー・ジョーンズ。4曲からなる(4曲しかない)演奏のタイトルは、「直立猿人」<進化>、「霧深き日」<優越感>、「ジャッキーの肖像」<衰退>、「ラブ・チャント」<滅亡>と名づけられ、2曲目のガーシュイン以外は、ミンガスのオリジナルになっています。ハードバップ全盛の当時に、その内容は実は「とんでも」前衛的。そして、テーマは、実は当時の黒人に対する人種差別、その怒りが込められているのです。一見フリーフォームとも取れる集団的即興演奏ですが、彼の敬愛するエリントンの「アレンジメント」をしっかりと踏襲しており、そういった意味でこのアルバムは「ハードバップ」の代表作のひとつとも言われています。個人の自己主張という原点としてのJAZZを、ハードバップという味付けで聞いてみたい方に。

pithecanthropus.jpg

INDEX

CATEGORY

ARCHIVE