2005.11.17

COLUMN

「私には私の戦いがあり・・・」

SO FAR by C.S.N&Y (1974)

今日も無事一日を追え、早めに帰宅しました。ふとしたことでかつてのアイルランド紛争を思い出し、IRA活動家を題材にしたハリソン・フォードとブラッド・ピット主演の映画「デビル」を思いだし、バスタブの中で口ずさんでしまったのが、このアルバムに納められている「オハイオ」でした。1970年5月18日、オハイオ州ケント大学構内で、ベトナム反戦運動中の学生が州兵の銃弾に倒れます。「鉛の兵隊とニクソンがやってくる・・・」と歌われるこの歌、当時の幼い私には、事の重大さよりも現職大統領をこうして唄ってのけるアメリカの若さ、そのパワーに感動とも憧れともつかないものを感じたものでした。

その後、かつてのベトナム戦争ほどの、東西対立の代理戦争はありませんでしたが、相変わらず世界の各地で自主独立や宗教の違いによる紛争は後を絶ちませんし、テロリストによる無差別殺人も世界各地で繰り返し起こっています。ブッシュ大統領はテロリストに対して「これは戦争だ!」と言いました。「戦争」とは事の良し悪しよりも、相手を打ちのめし屈服させっることが第一義の目的になります。アメリカはイラクで自主国家建設の手伝いをしているのではなく、正しく彼らの「戦争」をしているのです。

気になるのは、アメリカでかつてのように反戦という運動が文化にまで届くような、そんなうねりにならないことです。自国民が犠牲になったから今度ばかりはしょうがないというようなことではなく、戦う相手を失ったイデオロギーは、新しいビジネス・ウォーのヒーローを見出したからでしょうか?60年台に多くの若者を泥沼の中で失ったアメリカは、このCSNYのアルバムとともに、真の正義のアルバムを閉じてしまったのかもしれません。「Find The Cost Of Freedom」自由にはコストという概念はなかったはずです。

当時私は、高校生でした。親に叱られながらの彼女との6時間もの長電話、翌日の夜明けのデート。その彼女とはご自慢のアルバムを交換し合いっこしたものですが、私が最初に彼女に貸したレコードがこのアルバムでした。あれから30年。平和ボケしそうな頭の埃を振り払い、今日も私は自分自身の戦いの真っ只中にいます。「青い瞳のジュディ・・・」お元気ですか?

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