2006.02.17

COLUMN

(号外)「感謝」

BRAIN by 上原ひろみ (2004)

週末になりました。昨日の雨で通過した低気圧は西風に乗って行き過ぎ、今日はすっかり冬に逆戻りになりました。今日は、よかったこともあれば、残念なこともあり、まさしく悲喜こもごもの一日でした。お礼もしたし、お詫びもしました。感謝の言葉もたくさんいただきました。これがやはり、何よりです。人生で何よりも大切なこと、それは誰かに感謝され、また誰かに感謝しながら生きてゆくことですよね。値千金。この世界が、感謝で一杯になればと、そんなことを思いながら真冬の週末が暮れてゆきます。

「何々が出来て、当たり前」「なぜ、当たり前のことが出来ないのか」「計画通りに出来て当たり前」・・・そんな言葉に満たされた厳しいビジネスシーンの中に身を置いていると、ついつい「感謝」という言葉の意味を忘れてしまっている自分に気がつく。その言葉がどれほど人を幸せにし、冷え切った心を暖めてくれるか。心のこもった「ありがとう」。「感謝」に溢れた眼差し。「いたわり」が溢れる言葉の端々。そしてそれらをしっかりと感じ、受け取ることの出来る柔らかな感性。いくつになっても、どんなに時代が変わろうと、大切にしてゆきたいと思います。

今日は「バウハウス」でしたね。来週にします。たまには頭を休め、心のおもむくままの週末を迎えることにします。心はすべての母なのですから。

BGMは上原ひろみの2枚目、なんとタイトルは偶然にも「BRAIN」です。2004年発売のセカンドアルバム。前作が「another mind」、そして今回が「BRAIN」。どんどんと彼女の演奏は、心を離れ、思考の世界に進んでいるのでしょうか? 否。彼女の曲を聴いて、「JAZZのスピリットがない」という人がいます。ではその人に聞きたい。「JAZZのスピリットって何ですか? 」アコースティックな楽器で演奏する4ビートの音楽のことでしょうか? 虐げられた黒人の魂の叫びでしょうか? 薬とアルコールから生み出されるエモーショナなアドリブを指すのでしょうか? そう、それらは確かに彼女とは対極にあります。しかし、有史以来JAZZだけが持ちえた、さまざまな感情や思い、喜びや悲しみ、憂いや苦悩をすべて飲み込んでなお、一人でちゃんと歩いてゆけるそのさまは、私には彼女としっかりとオーバーラップするのです。バードもJAZZだし、コルトレーンもJAZZです。そして、HiromiもJAZZだと私は思います。乾いた心で、一度聞いてみてください。ほんのひとしずくかもしれないけれど、乾いた心をほんの少し潤してくれる何かが、そこにはあります。

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