2007.04.09

COLUMN

「兵は詭道なり」

昨日の「風林火山」ではいよいよ孫子の旗がお目見えしました。前回の山本勘助と武田家一の猛将・原美濃守虎胤との真剣勝負や昨夜の孫子の旗など、最近孫子づいています。実は今、プルーストとともにこの「孫子の兵法」を読んでいるのですが、真剣勝負に望んだ勘助が高らかと読み上げた有名な「兵は詭道なり」は、兵法の中の「第一 計篇」の四に出てきます。

第一 計篇 四
 兵とは詭道なり。
 故に、能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓し、卑にしてこれを驕らせ、佚にしてこれを労し、親にしてこれを離す。其の無備を攻め、その不意に出ず。此れ兵家の勝にして、先きには伝うべからざるなり。

つまりはなんです、戦争とは、敵をだます行為であると言うことなのですね。これが以前「武士道」の中で触れた「嘘をつかない武士」と「詭道」の関係なのです。

自軍にある作戦行動を、敵に対してはとても実行不可能であるかに見せかける。また、自軍がある効果的な運用のできる状態にあっても、敵に対してはそうしたことができない状態にあるかのように見せかける。

また、実際は目的地に近づいていながら、目的地から遠く離れているかのように見せかけたり、実際は目的地から遠く離れているにも関わらず、既に目的地に近づいたかのように見せかける。

このように、いつも敵に偽りの状態を示す方法「詭道」によって、

 敵が利益を欲しがっているときは、その利益を餌に敵軍の戦力を奪い取る。
 敵の戦力が充実しているときは、敵の攻撃に備えて防禦を固める。
 敵の戦力が強大なときは、敵軍との接触を回避する。
 敵が怒り狂っているときは、わざと挑発して敵の態勢をかき乱す。
 敵が謙虚なときはそれを驕りたかぶらせる。
 敵が安楽であるときはそれを疲労させる。
 敵が親しみあっているときはそれを分裂させる。
 敵が自軍の攻撃に備えていない地点を攻撃する。
 敵が自軍の進出を予想していない地域に出撃する。

これこそが戦(いくさ)の勝ち方である。これによる勝利は、その時々の状況もしくは敵情に応じて生み出す臨機応変の結果であり、したがって出征する前から間違いなく勝つとは断言できないものである。

と言うようなことです。これこそが戦略ではないのでしょうか?ってことは、主力部隊の艦隊決戦なんて不合理な戦い?でもこんな、ある意味卑怯者の論理みたいなことって、MBAでは教えてるんですかねぇ?うちですか?えーっと誰も相手してくれる人がいないと言うことで「無敵」です、はい。

INDEX

CATEGORY

ARCHIVE