2007.04.10

COLUMN

「戦わずして勝つ」

今日も風林火山の話題です。武田晴信は初陣で信虎に出番を与えられず、逆にそのことで「詭道」や「戦わずして勝つ」ことを体得し実践してゆくことになります。このへんが信虎時代と晴信時代の武田戦法違いとも言えるでしょう。史実は知りませんが、いずれも「孫子の兵法」に習ったと思われます。今日はこの「戦わずして勝つ」というお話。

戦(いくさ)といえば、軍を合わせて戦う、あるいは敵を攻める、敵から守るという具体的な軍事行動を真っ先にイメージしますが、孫子はもっと広い視野で「兵」を捉えています。どこかの国の中東攻めのような感情論や闘争本能などの動物的な枝葉抹消ではなく、力づくの覇権でもなく、国を治めること、つまりは守り発展させてゆくことが前提であり、これは会社経営にも通じるところです。そのために何をおいても戦闘を交えると言うのは良くないと孫子は戒めます。

第三 謀攻篇 一

孫子曰わく、
 凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ。
 軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。
 旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。
 卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。
 伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。
 是の故に百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。

戦いというのは発展のための方策・具体策ではありますが、そのこと自体がすでに「消費」であることを孫子は見抜いていました。最小限の投資で最大限の効果をあげること。私たち中小企業にとっては鉄則です。

「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。」

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