2007.09.11

COLUMN

「戦争と平和」

今日は9月11日。アメリカで同時多発テロが起こって早、6年になるのですね。昨日の故ダイアナ妃といい、本当に光陰矢のごとしです。あれから6年経って、アメリカの報復戦争(と決め付けているわけではありません)はいまだ収束せず、この秋には我が国の国会でも、テロ特別措置法延長に関する審議が始まり、政局に発展しそうな雰囲気です。

しかし、6年の戦争というのはあまりにも長すぎる。孫子も言ってたし、山本五十六も言ってた。戦争は短ければ短いほどいいのです。

兵は勝つことを貴ぶも、久しきを貴ばず。(兵法第二 五)

太平洋戦争は1941年に真珠湾で始まり、山本長官の意に反して4年も続き(逆に彼自体は43年に戦死)、1945年のポツダム宣言の受諾によって終わりました。真珠湾から遡ること4年前、盧溝橋事件から始まった日中戦争でさえ8年間でした。

記憶に新しいところでベトナム戦争(といっても、知らない世代が多いか・・・)。1964年のトンキン湾事件により、翌年からアメリカ軍が北爆を開始したあの泥沼の戦争さえ、75年のサイゴン陥落まで10年余り。そう思うと、イラクでの6年間の戦闘と言うのは長い。フセイン追放から始まったこの戦争、一体いつまで続くのでしょう。

10日、アメリカ下院の公聴会でイラク駐留米軍司令官が、「来年7月までに3万人の兵力削減をする」と証言したそうです。じゃあ、もう終わり?いえいえ、来年7月以降に残る米軍兵士の数はまだ13万人。13万人ってどのくらいなのか?そうですね、わが町高松の3分の一、田舎の三好市の5倍近く。首都圏で言えば台東区民全員くらいでしょうか?まだまだ、終わりそうにはありません。

では、ここで質問。長すぎる戦争の是々非々は別にして、あなたがもし、6年前に米国大統領だったら、どうしたでしょうか?

世界の警察を標榜する自由と正義の国であり、人口3億人、約1500兆円という世界一のGDPを誇る合衆国のトップだったら、どうしたでしょうか?その象徴である貿易センタービルに、あのように満員の乗客を載せた民間航空機を突っ込まれたら、あなたならどのような判断が下せたでしょうか?

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ちゃぶ台返しくらいではすみません。もしかして私なら、ブッシュと同じ轍を踏んだかもしれない。でも、やはりこれは「やられたから、やり返す」という単純な復讐心の延長では決して解決しない、地球規模の、いや人類そのものの「平和の定義の問題」なのですよね。

同時多発テロから6年になり、最近アメリカでは国内テロリストという新たな脅威が表出しているようです。そして、特にイスラム教徒は徹底的にチェックされている。まるで「イスラム教=テロリズム」と言わんばかりに。これはもはや、テロとの戦いではなく、宗教戦争ではないでしょうか?そしてその御旗の元に人々が攻め合い、殺しあうことの愚は、少なくとも文明人である私たちはしっかりと学んだはずです。

真の勇気とは何か。私たちはどうあるべきか。家族が身内がテロの手によって命を落としても、「何事もない静かな平和」を声高に叫び続けることが出来るのか。それとも、銃を取って家族を守る為に戦うのか。たまには、そういうことを考える時間もあってもいいですよね。こんなことを言ってること自体、平和ボケなのかもしれません。すいません。

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