2007.10.24

F1 & Cars & Bike

「イタリアの狩猟民族に学ぶ。」

今日は世界を転戦する狩猟民族のうちの、名将ジャン・トッド率いるスクーデリア・フェラーリ・マールボロの戦いの流儀について。

F1サーカスも、今年はこのブログに一度も登場しないまま、先週末に最終戦を迎えました。それも劇的な、奇跡的な、いやある意味レースの本質というものを私たちの前に提示して。

前戦の中国グランプリを終えた段階でのそれまでの全16戦の結果は、マクラーレンの脅威の新人ハミルトンが107ポイントで1位、同じくマクラーレンの昨年チャンピオンのアロンソが103ポイントで2位、そしてフェラーリのライッコネンが100ポイントで3位。最終戦ブラジル・グランプリに対する一般の世評は、ハミルトンとアロンソの一騎打ちというのが最も現実的なシナリオでした。

たとえライッコネンがトップでチェッカーを受けたとしても、アロンソが2位、あるいはハミルトンが5位に入れば、彼のチャンピオンはあり得ない状況。どう考えてもネガティブにしか取れないこんな状況の中で、フェラーリ・チームは起こりえない結果、つまり「奇跡」を起こしました。ライッコネン1位、アロンソ3位、そして最もチャンピオンに近かったハミルトンは7位でレースを終えたのです。

なぜ、奇跡は起きたのか。もちろんライッコネンの激しい優勝への執念と冷静なドライビングと言う、相反する厳しい状況の中で1時間半を戦いきったことが最も大きなファクターではありましたが、「優勝」という明確な目標に向かってチーム全員が一丸となって戦ったフェラーリ・チームの勝利であるとも言えるでしょう。

勝つためのチームマネージメント、僚友マッサの自己犠牲による援護、厳しいタイヤ戦を予測し完璧に対応したエンジニアたち。ベクトルが一つになったとき、「3本の矢」を引き合いに出すまでもなく、その力は100%を超えて発揮されます。そして奇跡さえも起こしてしまう。

逆にアロンソとハミルトンが勝てなかったわけは、二つに分裂したチームと目標を定められなかったマネージメント、そしてなにより「お互い以外が勝つならそれでよし」といった不条理なライバル意識だったのかもしれません。

例えば経営において、私たちはこのようなリスキーな状況、奇跡を起こさなければいけない選択はしてはならないと、一般的に言われます。しかし、現実はこういう状況が日常茶飯事ではないでしょうか?その時必要なこと、それをこのレースは教えてくれているような気がします。

レースを終えたライッコネンは記者会見でこう話しました。

「シーズン中、いくつか難しい時期を過ごしたり、もうタイトル争いができないのではないかと思った時期もあったけど、僕らは決してあきらめることなく働き続け、今日の結果に到達した。(中略)両親や妻のジェニ、そして僕を信じてくれたみんなにありがとうと言いたい。これまでにF1シーズンをこんなに楽しく過ごせたことはないよ。フェラーリで、僕は最高のファミリー(家族)を見つけることができた。」

あなたの会社は「戦うファミリー」ですか?うちは?

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