DAS LEBEN DER ANDEREN/THE LIVES OF OTHERS 邦題:善き人のためのソナタ

2008年1月 1日 16:50 | Movies

1989年11月9日、東西ベルリンを隔てていた「ベルリンの壁」が崩壊しました。第2次世界大戦とヒトラーの野望、そしてその後の東西の帝国主義に分断されていたドイツの人たちが、手に手を取った記念すべき日です。

それまでの東ドイツは、ソ連と同じく社会主義国家。体制維持の為にどのようなことが行われていたのか。その事実と壁の崩壊の意味を、国家保安省の大尉と劇作家という監視者と監視される側それぞれの生き様を通して映像化された本作は、アカデミー賞外国語映画賞をはじめ、全世界で35の映画賞を受賞した社会派ドラマであり、またささやかなヒューマン・ドラマでもあります。

国家保安省の大尉ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と、彼の恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)を盗聴監視し、反体制的であるという証拠をつかむよう命じられます。党に対する絶対忠誠を誓うヴィースラーは、党のため任務のために若いときから人間性や感情などを押し殺して生きてきて、近所の子供からも刑務所送りの冷血人間と呼ばれていました。

ドライマンや彼の友人の芸術家たちの、監視国家の中で窮屈に生きながらも、ささやかな人間性中心の考え方。最初は威圧的に捉えていた大尉も、ドライマンの弾く「善き人のためのソナタ」を聴いて、奥底に眠っていた人間的なものに次第に目覚めてゆきます。

自由、愛、信頼。そしてそれらを伝えるための表現や生き様。そういった現代に生きる私たちにはごくあたり前におこなっていることが、抑圧され、監視され、極端に制限されてしまうと、たとえ善き人であっても悪しき権力に従わざるを得なくなる。いや、善き人ほどそうなってしまうのかもしれません。

あえて勇気を出して、回りに対して「善き人」ではなくなったとき、初めて人は素朴なあるべきひとりの人間である自分の存在に気づき、隣にいる人も同じ「人間」であることに、大切な「命」であることに気づくのかもしれません。そういった意味で、クリスタの役柄は、時に複雑ではありますが、同時に私たちの人としてのか弱さも呈示してくれます。

映画の最後の会話、本屋の店員の若者の「プレゼント用ですか?」の問いかけに、「自分のため」と答えるヴィースラーは、若干33歳のドナースマルク監督の気のきいた洒落でしょうね!

自由主義と共産主義という2元論的対峙が取り払われた現代社会は、ただ単に自由主義の勝利を祝うのではなく、真の自由主義を探す長い旅路にいまだ私たちがいることを、忘れてはなりません。

出演:ウルリッヒ・ミューエ,セバスチャン・コッホ,マルティナ・ゲデック,ウルリッヒ・トゥクール

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク (2006年)

BOSS的には・・・★★★★

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション

おすすめ平均:4.5
4深い溜息と共に
5人は、変われる
5鮮やかなクライマックス!

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