2008.02.21

CLASSICS

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 (1785年)

彼の名作のひとつ、前作(K.466)の20番からわずか半年後にこの曲は作られました。当時、予約演奏会で自作自演の曲を演奏しなければならないため、モーツァルトはピアノ協奏曲の作曲に心血を注いでいました。日本で特に彼の短調の曲が好まれるのは、演歌のマイナー調のせい?でも、ハ長調という素人でもとっつきやすいこの曲は、ある意味最もモーツァルトらしいといいますか、ウィーンっぽい曲かもしれません。20番とセットで聞けばちょうどいいのかも。

当時のウィーンっ子が微笑みながら聞いたであろう、第一楽章導入部のオケの調べ。縦に切っても、横に切ってもモーツァルトです。縦横無尽にコロコロところがる鍵盤は、時折ナーバスに振ろうとしますが、最後はやはりあの「ジャ、ジャン、ジャ、ジャン」に戻ります。この「光と影」の間をゆらめくような曲調が、この曲を名曲と呼ばせる所以なのでしょうか。

第二楽章はとっても有名。皆さんも、いつかどこかで聞いたことがおありのはず。スウェーデン映画「短くも美しく燃え」の主題歌にも使われた、美しいメロディは、彼のメロディ・メーカーとしての真骨頂。あまりにも悲しすぎるこの映画のお話は、またいずれ。

終楽章は、明るく活気に満ちて進みます。ピアノも華やかな演奏技巧で、命の躍動、その鼓動の歓びが頂点を迎えると、フィナーレとなります。

お勧めは、またしても内田光子に旦那のテイト&イギリス室内管弦楽団。きゃしゃなモーツァルトの白い手とオケとのめくりめく逢瀬を、思い入れと優しさ、正確な鍵盤使い、オケとピアノの掛け合いで再現しています。とりあえず、「モーツァルト命」の方以外は、彼のピアノ・コンチェルトはこのカップリングを買ってけばOKでは?

モーツァルト:ピアノ協奏曲21

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