2008.02.14

CLASSICS

ブラームス ピアノ協奏曲第一番 ニ短調 作品15(1854)

ブラームスが、シューマンと盟友であったのはご承知の通り。そしてそのシューマンが、ライン河に身を投じ自殺を図ったのが1854年。その後、精神病院での治療の甲斐もなくこの世を去ったのが1956年。その当時のブラームスの、シューマン、夫人のクララ、そしてシューマン一家の子供たちへの思いが色濃く表れている楽曲が、今日ご紹介するピアノ・コンチェルト1番だと言われています。

またこの曲は、ブラームスの創作活動の中の「創世記」にあたるものでもあり、かの1番シンフォニーが完成するのは20年も後のことです。そしてこの曲にはまだ、彼が尊敬してやまないベートーベンの9番交響曲の影響が大きく、ピアノ協奏曲というよりも、シンフォニーに近いものがあります。

同じニ短調、「第九」との相関性をやはり想起させる暗く重く始まる管弦楽と、関連性を否定したかのように始まるピアノで構成される第一楽章。そして伝記作家のマックス・カルベックの言葉を借りれば、「若き友人の信心深い業績に対しての厳かな祝福」である第二楽章アダージョ。そして、第九の苦悩から歓喜へを思い起こさせる若々しく力強さで締めくくられる終楽章。

作曲後も、なかなか初演の機会のなかったこの曲は、1859年に彼自身のピアノで公開初演されましたが、メンデルスゾーン以来の保守派にも、リストやワグネリアンたちにも酷評され、演奏後拍手したのはたった3人だったと言われています。

アルバムは、ルービンシュタインのピアノ、メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団による1976年の録音です。巨匠ルービンシュタインはこのとき89歳!しかし、最後まで巨匠であり続けた彼の鍵盤さばきは、やや技巧性にふったこの曲を、強靭にまた繊細に弾ききっています。そしてブラームスらしい濃厚なシンフォニー、メータとイスラエル管が鳴らします。特に終楽章のピアノとオケのやりとりは感動を超えて心に染み渡ります。名演です。

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

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5ルービンシュタインの凛とした音がピッタリくる1枚です
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