2009.06.13

Movies

Buffalo Soldiers 邦題:バッファロー大隊

西部劇の巨匠ジョン・フォードが描く異色の西部劇。舞台はあのモニュメント・バレー、騎兵隊とインディアンとの戦いなのですが、基本的な展開は軍事法廷で繰り広げられるヒューマンドラマです。

独立戦争からずいぶん経た後も黒人の地位や差別は変わる事のないアリゾナの田舎町。アメリカ合衆国陸軍南西地区本部で、一人の黒人軍曹の裁判が開かれようとしてしました。被告の名はラトレッジ(ウッディ・ストロード)。彼の罪状は白人の少女の強姦殺人と、司令官の殺人容疑です。

buffalo_solgers.jpg裁判官は、南北戦争で勇名を馳せたフォスゲート大佐(ウィリス・バウチィ)、検察官はシャッタ大尉(カールトン・ヤング)、弁護人は被告人の上官であるカントレル中尉(ジェフリー・ハンター)です。

事件は、居留地を抜け出したアパッチが砦を襲撃したその日に起こりました。砦を守る少佐が死んでおり、近くには白人の若い娘ルーシーが倒れていました。彼女は強姦されたうえに首を絞められて死んでいたのです。そしてその少佐の部屋から腹部を銃で撃たれたラトレッジが逃げ出したのです。

裁判の開廷から何人かの証言を再現する形で展開する物語は、現代で言ういわゆる法廷モノです。その証言による物語、ショートストーリーは、かのモニュメントバレーの「荒野の七人」の舞台となったあの荒野です。

当時、奴隷から解放されつつあった黒人たちは、隊員として部隊のほとんどを占める主力であり、一部の統率力・指導力のあるものは軍曹など上位の階級を与えられていました。被告のラトレッジ軍曹も、ヒーローとして黒人兵たちの厚い信頼を得るだけでなく、実際に誰よりも勇敢な兵士であり、部隊・部下思いのリーダーでした。

しかし彼は、ヒーローである前に黒人でした。黒人であるがゆえに冤罪を恐れ、自由を希求し、そのことは彼を逃亡へと駆り立ててしまいます。当時はそうであったであろう、黒人であるだけですでに犯罪扱いする検察や白人の傍聴人たち。しかし、もう一人のあるべき軍人、弁護人として法廷に立ったラトレッジの元上司、カントレルの正義が、偏見と悪意と疑念に満ちた法廷の空気を、真実の光を差し込ませることで一掃します。スカッとします。

単に勧善懲悪物語だからスカッとするのか、こんな私にも「善」や「正義」のココロが残っているせいなのか・・・。皆さんはいかがでしょうか?

出演:ジェフリー・ハンター,コンスタンス・タワーズ,ビリー・バーク,ウディ・ストロード,カールトン・ヤング,フアノ・ヘルナンデス

監督:ジョン・フォード 1960年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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