2009.10.12

CLASSICS

リヒャルト・ワーグナー 歌曲「トリスタンとイゾルデ」(1857)

久しぶりにオペラを見たので、今日はオペラのご紹介でも。レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場楽団の「トリスタンとイゾルデ」、もちろん現地に行ったのではなくテレビ鑑賞です。

実はこのブログでワグナーをご紹介するのはこれが始めて。オペラもまだ数少ないし、「さまよえるオランダ人」あたりからが適当なのではありますが。

物語は・・・

アイルランドの女王イゾルデ姫は、コーンウォールの勇士トリスタンを自らの婚約者を殺した仇と知りながら彼を愛してしまいます。しかしトリスタンは、イゾルデを伯父のマルケ王の妃に推挙し彼女を迎えにきます。

迎えの船上で、老王と愛のない暮らしを送るよりはと毒薬をトリスタンに飲ませ、自らも残りを飲み干します。が、彼女の侍女ブランゲーネよって毒薬は愛の秘薬にすりかえられたため、二人は抱き合い深く愛し合います。

それを知ったマルケ王の家臣によって傷ついたトリスタンは城に運ばれ、「イゾルデ!」と一言を残して息絶え、イゾルデもまた法悦の中で彼のあとを追います。

今から150年前に作られたこのオペラ、北欧に伝わるトリスタン伝説がベースとなっていますが、当時ミンナという妻がありながら、援助を受けていた豪商ヴェーゼンドンクの妻マティルデとの恋に落ちたワグナー自身の愛と苦悩が映しこまれたといわれています。

またこの曲の完成と前後して書き始めた世紀の大作「ニーベルングの指輪」で花開く「ライトモチーフ」という手法がほぼ確立された作品であり、また「トリスタン和音」と呼ばれる前奏曲の冒頭に現れる調性の曖昧な和音、無限旋律と多用される半音階は、従来の和声の枠を超えた大胆なものです。

音楽的には彼の追い求めていたものがほぼ完成されたこの歌曲、表現されたものは人間の根源にうごめく愛と死、その愛の昇華という陶酔的作品となりました。前記の前奏曲ならびに最終の第3幕でイゾルデが歌う「おだやかに静かに」が有名です。

所蔵CDは、クライバー指揮ドレスデン国立管弦楽団。プライスのイゾルデ、コロのトリスタン、3枚組みの全曲版です。

ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲

おすすめ平均:4.5
5何しろ少ないカルロス・クライバーの作品
5クライバーの「冷静と情熱のあいだ」
4暗く静かに燃えるトリスタン‥
5クライバーもドレスデン選んだ
4この曲の最高の録音の一つ。

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