BOSS's Column

400年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった自衛隊の活躍と行方を描いたSFアクション。半村良原作の同名小説を角川春樹が映画化したもの。

日本海沿岸で訓練を行っていた自衛隊の隊長伊庭（千葉真一）は、隊員らとともに「時空連続体の歪み」によって400年前の戦国時代にタイムスリップしてしまいます。彼らの前に姿を現したのは、長尾景虎（夏木勲）率いる軍団でした。

「天下を取る」ことによって歴史に歪みをつくれば、もといた時代に戻れるのではないかと、行きがかり上、景虎に加担します。伊庭と景虎は、同じ時を過ごすことで次第に心を通わせてゆきます。そんな折、部下の矢野（渡瀬恒彦）ら数名が部隊を離れ、海賊行為によって村々を襲撃し始めます。

そもそも原作は、「近代兵器の軍隊」と「戦国時代の武者軍団」が戦ったらどうなるか？という、いわゆる「架空戦記」として作り込めれた我が国SF小説の金字塔ともいうべきものですが、映画化するにあたりこのへんの理詰めの部分はかなりスポイルされました。

で、主役の千葉真一をはじめJACのスタントマンによるアクション映画となっていて、当時ヒットしたテレビドラマ「俺たちの旅」の名コンビ、斎藤光正と鎌田敏夫をもってしても、隊員たちの青春群像を描ききるのは難しかったようです。

前年の「野生の証明」と同じく3時間の大作、同じく「薬師丸ひろ子」もチョイ出してます。で、やはり3時間前提のゆるゆるさが目に付いてしまう。2時間で出来なくはないよねと思ってしまいます。

筒井康隆を読みきった私にとっての半村良作品のよさは、このようにかなりスポイルされていますが、前作同様その内容から自衛隊の協力を得られず、自ら1000万円近くかけて作ったM60戦車の出来とともに、70年代の最後を飾る大作には違いありません。

戦争モノや歴史物がお好きなSFファンの方には、ぜひ原作もお勧めします。もちろん、史実と云々と言われる方にはお勧めできません。

出演：千葉真一,中康次,江藤潤,速水亮,にしきのあきら,三浦洋一,かまやつひろし,倉石功,渡瀬恒彦,鈴木ヒロミツ,竜雷太,小野みゆき,岡田奈々,夏木勲小池朝雄,薬師丸ひろ子,草刈正雄

監督：斎藤光正 1979年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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