ショパン ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op.64-2(1846年)

2010年3月 2日 23:59 | CLASSICS

どうも仕事をデジタル的に捉えているせいなのか、時間を刻むように四六時中背中を押されている(押している)せいなのか、自らが課す痛々しいほどのプレッシャーのせいなのか。

定時を過ぎて帰宅する頃には早春の風さえも、頬に無数の切り傷を残してゆくかのように、まるで体中に擦り傷を残しながら産卵し死んでゆく鮭の如く、玄関のドアをばたんと閉めると、ぷっつりとスイッチが切れます。

喜びや怒りで気持ちの高ぶった日には、ジャック・マイヨールのごとくそれを真っ暗な深海に落ちてゆくように静かに沈め、悲しみや無常の切なさにつぶされそうな日には、風に揺れる草原の草むらにそっとその肢体をしきおきます。

そんな夜には、ショパン。

数多い彼のピアノの小品の中で私が選んだのは、第7番ワルツ 作品64-2。この曲は、皆さんもご存知の第6番「子犬のワルツ」と第8番ワルツの3曲がセットになったものの1曲です。

曲が書かれたのは、ショパン晩年の1946年ごろ。リストから紹介された男装の作家ジョルジュ・サンドとの10年に及ぶ関係が破局を迎えた、ちょうどその時期にあたります。

ワルツとは日本語で「円舞曲」。有名なシュトラウスのワルツは完全に舞踏のための音楽なのですが、ショパンのワルツの半分以上は、ワルツを身にまとった抒情的音楽なのです。

ショパンと言えば、その甘いメロディで女性をとりこにするロマンチストというよりは、センチメンタリストのような印象をお持ちの方も多いはず。

パリの社交界を席捲した彼は実はマイノリティのポーランド人であり、大国ロシアに翻弄され蹂躙される祖国への感傷と悲哀が、私たちに「悲しみのワルツ」を躍らせます。

そこまでナーバスに捉えなくても、やはり彼のワルツに秘められた気高さは誰にでも理解できるもの。かのシューマンに、「もし彼のワルツで踊るのならば、相手の女性の少なくとも半分は伯爵夫人でなければならない」と言わしめたその精神性。

月の無い夜にはショパンの調べを聞きながら、過去から未来へとよどみなく流れる時間の中に、脈打ち流れる自身の血潮がすみずみまで全身を覆うのを感じると、右の後ろのほうから、明日が音も無くひたひたとやってくるのがわかる。そんな気がします。

ショパン:ワルツ集

おすすめ平均:4.5
5ピアノ学習者用にも最適
4個性ある演奏
5実はカツァリスの演奏は正統派だった
4最初には聞かないほうがいいと思う
5アレンジ良好

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