2010.10.22

JAZZ

JAZZ GIANT BUD POWELL (1949,1950)

バド・パウエルは、「JAZZの登竜門」「JAZZ道必聴のアーティスト」、そして「超えなければいけない一山」だと一般的に称されます。JAZZの初心者、それも「ピアノと言えばロマンティックな楽器」などという誤った先入観を持った、あるいは「JAZZで女性にもてよう」とか「JAZZで女性を酔わそう」などという不遜な下心を持った輩には、超えることの出来ないヒマラヤかアルプスの絶壁のように立ちはだかる巨人パウエル。

だから今日ご紹介するのが「JAZZ GIANT」という訳でもないのですが・・・。

ただ、人間を50年もやってきて、JAZZもCLASSICも30年以上聴いてくると、やはり事始めの頃とは違って聞こえてくる。

私のように、「マイルスさえあればJAZZはいらない」ほどマイルスを聞き込んでも、はやりパウエルはパウエルだし、逆に私の人生が思った以上に短かったとしたら、「パウエルさえあればJAZZはいらない」と思ったかもしれない。

bud-powell.jpg一般的にはJAZZピアノ、あるいはピアノトリオというフォーマットの開祖、ビバップの教祖などと言われていますが、数枚の彼のアルバムを聞くと、そこにはさまざまなJAZZのエッセンスがそこかしこに埋め込まれていて、10年ほどしかなかった彼の表舞台の日々、それも麻薬や酒で騒ぎを起こし警察沙汰に成り精神病院を出たり入ったりした、そんな10年を駆け抜けた彼の人生が、実はJAZZそのものだったんだなと、この年になって彼のアルバムをしみじみ聞いては、そういう同情とも憧れともつかぬ不思議な感情にとらわれるのです。(プルースト風)

以前ご紹介したルースト・レーベルに残されていた曲を集めた「バド・パウエルの芸術」より数年後の1949年と翌50年に、今度はバーヴに残された13曲を集めたのが本作。有名なのは何といっても1曲目のパウエル作「TEMPUS FUGUE-IT」。この光速ピアノは、JAZZピアノマンなら必ず挑戦するそうです。(私はバイエルレベルなので縁がありませんが・・・)

3曲目は同時代のこれまた光速アルトのバード(C.パーカー)の演奏で有名な「CHEROKEE」、そして4曲目のパウエル作「I'LL KEEP LOVING YOU」や11曲目のスタンダード「YESTERDAYS」などを聴くと、破滅的天才の違う一面、メロディアスで繊細なガラス細工のような感性を垣間見ることが出来ます。

この頃の演奏は、いい時と悪い時の差が激しかったパウエル。これは1年越しのとある、とても調子のよかった彼の記録です。

それでもやはり、JAZZ初心者にはお勧めは出来ないかもしれない。それも男性諸氏には。むしろ最近の豪腕女子の方のほうが、すとんとお腹の中にお気に入りのスイーツと共に入っていくのかもしれない。

はやりパウエルはJAZZそのものであり、そのくらい深いのです。あなたの誰かに対する愛情と同じくらい・・・

Jazz Giant
Bud Powell

おすすめ平均:5
5全盛期のバドを捉えた名盤
5バドが好きだ。
5香がする
5これはいい、、、
5Bud Powellの最高傑作

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