2011.02.02

Movies

A BOUT DE SOUFFLE/BREATHLESS 邦題:勝手にしやがれ

フランス映画におけるヌーヴェルバーグの旗手、ジャン=リュック・ゴダールの初長編作品にして最高傑作。自由奔放に生きる一人の男の半生を描いた犯罪映画。

車を盗んでは売りさばくことを生業とするミシェル・ポワカール(ジャン=ポール・ベルモンド)は、ある日追跡してきた警官を射殺してしまいます。

katteni.jpgパリに舞い戻った彼は、何人かの恋人たちを訪ねては小遣いをせびります。そんな彼が唯一本当の恋に落ちたのはアメリカ人パトリシア(ジーン・セバーグ)。しかし彼を追うパリ警察の刑事ヴィダル(ダニエル・ブーランジェ)の捜査は彼女にもおよびます。

そしてある日、イタリアに一緒に逃げようと言う彼の居場所を、パトリシアは刑事に密告します。

第2次世界大戦中から、商業的娯楽主義とも言える映画作りを行ってきたハリウッド。それは今でもいささかも変わりはないのですが、それに追随しようとするフランス映画を徹底的に否定し、それまでの常識や文法をことごとく壊した作品が本作です。

そこには、即興演出、同時録音、自然光を生かすためのロケーション撮影という、いわゆる「ヌーヴェルバーグ」の3点セットが用意され、それゆえゴダールをして「ヌーベルヴァーグの旗手」あるいは「父」と呼ぶ所以なのです。

公開後、瞬く間に世界中で話題となり、アメリカでは10年後のニューシネマに影響を及ぼします。

隠しカメラで撮影したらしきロケ映像や、シーン自体は当たり前のように流れずぶつ切りになる違和感は、当時としてはかなり斬新な試みでした。

ただ、その後の亜種による手法のみの盗用のため、現代の視点で見るとそれほどの新鮮さは感じられません。

パトリシアがうれしそうに広げるポスターがルノワールの「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」だったり、かけたレコードがモーツァルトの「クラリネット協奏曲」だったりと、なんだか個人的には琴線に触れるシーンが織り込まれています。

このブログに初登場の、ジャン=ポール・ベルモンド、若いです。確かに男前です。それにしても、二人とも煙草吸い過ぎ!監督自身も出演しています。

ということで、フランス映画にしてフランス映画らしい一作。映像作家の方々に。でも決して本作の見かけだけを真似して作品を作られることのないように。

出演:ジャン=ポール・ベルモンド,ジーン・セバーグ,ダニエル・ブーランジェ,ジャン=ピエール・メルヴィル,ジャン=リュック・ゴダール

監督:ジャン=リュック・ゴダール 1959年

音楽:マルシャル・ソラル

BOSS的には・・・★★★☆☆

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