2012.01.11

Movies

The Killing Fields 邦題:キリング・フィールド

70年代のカンボジア内戦を取材し、後にピューリッツァー賞を受賞したNYタイムズの記者の実話を下に描いた戦争ドラマ。アカデミー賞助演男優賞・編集賞・撮影賞受賞作品。645本目の映画投稿です。

1973年8月。ニューヨーク・タイムズの記者シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、特派員としてカンボジアの首都プノンペンに赴任します。現地での通訳・ガイドを引き受けたのは、カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)でした。

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当時のカンボジアは、アメリカの支援を受けたロン・ノル政権と、反米を掲げた革命派勢力であるクメール・ルージュの対立が表面化し、一触即発の状態でした。

武力行使を始めたクメール・ルージュの勢いはとどまることを知らず、翌74年には首都に迫っていました。

政府関係者や在住外国人が国外へと逃れる中、シドニーら一部の記者は取材を続けるためにカンボジアに残ることにします。そして4月、プノンペンが陥落、ロン・ノル政権は崩壊し、クメール・ルージュを率いるポル・ポト政権が誕生します。

シャンバーグとプラン、そしてアメリカ人カメラマンのロックオフ(ジョン・マルコヴィッチ)、イギリス人記者のジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)は、病院に取材に行きますが、クメール・ルージュの兵士に逮捕されます。

プランの働きで開放された彼らは、命からがらフランス大使館に逃げ込みます。しかし、彼らの命の恩人であるプランだけが、外国人ではないことを理由に若い兵士たちに連れ去られます。そしてシャンバークたちは無事、国外へと避難することが出来ましたが・・・。

混迷の代理戦争、ベトナム戦争終結後のカンボジア内戦を実話に基づいて描いた作品。純粋共産主義を標榜しつつ、大量の虐殺と難民を出したクメール・ルージュの悲劇が赤裸々に描かれています。

ベトナムやカンボジアの当時の歴史を前もって予習しておくと、さらに身に迫るものがあります。

イギリス映画ということもあり、史実に基づいてということもあって、俳優さんたちは地味。そういう意味ではジョン・マルコヴィッチさえも地味です。

助演男優賞を受賞したハイン・S・ニョールは、自身も実際に強制労働を強いられた経験をもつ医者で素人なのですが、アカデミー賞レベルの演技とは正直思えません。ただ、リアリティは確かに迫真です。

結局この手の作品は、「戦争のおろかさを伝える」と評すればそれで終わってしまうのですが、たいがいの戦争には善悪が存在しない。どちらかから描けばそちらが正義になってしまう。

戦争のおろかさと言うよりは、人間そのものの存在のおろかさに対して、常におごることなく自らを見つめることが大切なのだと、改めて思いました。

音楽はあの、マイク・オールドフィールドです。

出演:サム・ウォーターストン,ハイン・S・ニョール,ジョン・マルコヴィッチ,ジュリアン・サンズ,クレイグ・T・ネルソン,スポルディング・グレイ,ビル・パターソン

監督:ローランド・ジョフィ 1985年

撮影:クリス・メンジス

編集:ジム・クラーク

作曲:マイク・オールドフィールド

BOSS的には・・・★★★☆☆

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