2012.11.03

Movies

Guess Who's Coming to Dinner 邦題:招かれざる客

黒人と白人の恋人たちを取り巻く家族を通して、人種差別を描いた社会派ドラマ。アカデミー賞主演女優賞・脚本賞受賞作品。713本目の映画投稿です。

サンフランシスコ空港に降り立った若いカップル。人々の怪訝な視線を無視して、黒人青年と白人女性はタクシーに乗り込みます。

GuessWhosComingtoDinner.jpg青年は世界的に著名な医師、ジョン(シドニー・ポワチエ)。女性はジョーイ(キャサリン・ホートン)。二人はハワイで知り合い、結婚を約束する仲でした。

ジョーイの母クリスティ(キャサリン・ヘップバーン)は、娘の婚約者が黒人であることに戸惑いますが、喜びと幸せに満ちた娘の姿を見て、動揺は次第に喜びに変わってゆきます。

しかし彼女の父マット(スペンサー・トレイシー)は、この事実を受け入れることが出来ませんでした。彼は新聞社を経営し、長く人種差別と戦っては来たのですが、こと自分の娘の事となると話は違ってくるのでした。

キング牧師のリンカーン記念堂での有名な「I Have a Dream」から始まる名演説を行ったのが1963年。暗殺が起こったのが1968年。

当時はベトナム戦争が泥沼化してゆく頃でもありましたが、公民権運動も佳境を迎えていました。

そんな時代に、このデリケートな問題を一組の男女の結婚と言うローカルでミニマムな舞台の中で取り扱ったのが本作。そういう時代性の中では意義のある作品だとは思うのですが、どうも痛々しくてついつい目をそらしたくなる。

恋心や青春の熱い思いは、社会の分厚い壁も打ち壊し、また乗り越える勇気と力を与えてくれるという示唆はとてもわかりやすいのですが、個人的にはタブーの前についつい「理性」というブレーキをかけてしまう自分がいます。

私がジョンなら、ジョーイを前にしても立ち止まってしまうような気がする。まあ、そんなことじゃだめだよ!ということを伝えるのが本作の使命なのでしょうが・・・。

そして半世紀。未だにアメリカにはこの問題を抱えたままなのです。テーマ曲のように気楽には見られない作品。名優スペンサー・トレイシーの遺作でもあります。

出演:スペンサー・トレイシー,シドニー・ポワチエ,キャサリン・ヘップバーン,キャサリン・ホートン,セシル・ケラウェイ

監督:スタンリー・クレイマー 1967年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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