2012.11.15

Movies

The Front Page 邦題:フロント・ページ

1920年代のシカゴを舞台に、新聞記者たちの特ダネ争奪戦をコミカルに描いた風刺ドラマ。716本目の映画投稿です。

1929年、シカゴ市警内の記者クラブ。中庭では明日の早朝執り行われる警官殺しの犯人として死刑を宣告されたアール・ウィリアムズ(オースティン・ペンドルトン)の処刑の準備が進んでいました。

the-front-page.jpgその頃、新聞社シカゴ・エグザミナー紙のデスク、ウォルター・バーンズ(ウォルター・マッソー)は、昨夜から消息不明のトップ記者のヒルディ・ジョンソン(ジャック・レモン)を取材に当たらせようと必死で彼を探していました。

そしてバーンズのまえにひょっこりと姿を現したヒルディは、今日限りで社を退社し恋人ペギー(スーザン・サランドン)と結婚してシカゴを離れることを告げます。

一方、記者クラブには死刑囚ウィリアムズの情婦であるかのように書きたてられた売春婦のモリー(キャロル・バーネット)が、記者たちに文句を言うためにやってきます。

憤慨したまま部屋を出て行ったモリーと入れ替わりに、浮かれ気分のヒルディがやってきて、記者たちは祝杯をあげまじめます。

その頃、保安官ハーマン(ヴィンセント・ガーディニア)の事務所では、精神科の医師がウィリアムズの心理状態を調べるためにやってきて、殺しの現場を再現させようと保安官の拳銃をウィリアムズに渡します。

上階で騒いでいた記者たちの耳に、3発の銃声が鳴り響きます。

金でも地位でも名声でもなく、自身の生活を犠牲にしてでもただひたすら特ダネを追って他社を出し抜くことを信条とする新聞記者たちの姿をシニカルに描いたコメディ。もともとは舞台用の物語。

こういう作品を映画するのがお手の物の、監督はビリー・ワイルダー。ですから殺人やら赤狩りやら、あるいは市長の不正や売春などの社会の負の部分が主題となってはいますが、とっても軽やかで爽やかささえ感じる作品に仕上がっています。

これはもちろん、主演のジャック・レモンの演技や、上司役のウォルター・マッソーとの絶妙などたばたコンビのせいでもあるわけですが・・・。

大きな構図としては不正を行ってでも選挙で再選されたい市長と、正義の味方を標榜する新聞社との対決があり、一方まるでマトリョーシカの最後の人形のように、仕事人間の編集長と記者から足を洗いたい主人公の対決を内包したまま、物語は進んでゆきます。

最初はちょっとだるいかな?などと思って観てましたが、ウィリアムズが脱獄したあたりから会話にも画面展開にもスピード感が出てきて、物語は一気にエンディングに向かいます。

アメリカの諺に「かつての悪徳も、今じゃ癖」と言うものがありますが、「好きなものは、止められねぇ~!」というオチな、ワイルダー色で味付けされた作品です。

ちなみに「フロント・ページ」とは新聞の第一面、トップページのことで、某Microsoft社のホームページ作成ソフトとは、何の関係もございません。

出演:ジャック・レモン,ウォルター・マッソー,スーザン・サランドン,キャロル・バーネット,ヴィンセント・ガーディニア,デイヴィッド・ウェイン,アレン・ガーフィールド,オースティン・ペンドルトン

監督:ビリー・ワイルダー 1974年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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