2004.10.24

POPS

FILIPPA BGIORDANO (1999)

秋のドライブのお供の2枚の目は、フィリッパ・ジョルダーノのデビューアルバムです。「これって某大手レコード店のクラシックNo.1だったのでは?」とお思いの方は、かなりのクラシック通。でも、彼女は本来はポップス歌手なのです。もちろん、幅広いポピュラーというジャンルの中で、クラシックよりであることは確かで、「ポップ・ソプラノ」などと呼ばれています。世紀末の、人々の多くが癒しを求めたいた時に、彗星のごとく現れた21世紀の歌姫。彼女は1974年のバレンタインデーにシチリア島のパレルモで生まれました。幼い頃はバレエに情熱を燃やしていたそうですが、13歳で音楽に目覚め、ホイットニー・ヒューストンやマドンナに夢中だったそうです。「アメリカ一国という歌の世界に、「歌の国」イタリアならではのポップソングを伝えたい。」そう思った彼女を見出したのが、デビッド・フォスターであり、エンリコ・モリコーネだったのです。オペラのアリアというのは本来、マイクのない舞台で、そのもてるパフォーマンスを最大限発揮しなければならないのですが、彼女の場合は、はじめからマイクありきとし、マイクを通して如何に美しくメロディを聞かせ、如何に明瞭にその歌詞を伝えるかと、通のクラシックファンの中には異論を唱える方もおられると思いますが、まあそう固いことはいわずに、とにかく彼女の天使のような歌声に和んでみてください。

そうですね、紅葉の深まる峠を抜けてゆくオープンカー。あるいは、踏みしめる落ち葉をかき分けるように紅葉のトンネルを抜けてゆく真っ白なサルーン。そんなときにかけて見てください。1曲目はベルリーニのオペラ「ノルマ」から、月の神に祈る美しいアリアです。2曲目もサン・サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」からのですが、オペラ自体はフランス語ですが、イタリア語の珍しくもまた美しい歌声が聴けます。2曲ほどオペラのアリアが続き、5曲目は映画「眺めのいい部屋」で使われた「私のお父さん」。TVCMなどでも使われていましたので、耳にした方も多いはず。続いてはグノーの「アヴェ・マリア」と、美しい調べ、美しい歌声が続きます。

最後は、アンドレア・ボチェッリとサラ・ブライトマンのデュエットでヒットした「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」の作曲者フランチェスコ・サルトーリが、フィリッパのために書き下ろした「マリア、海辺にて」。秋の海、人も途絶えた海岸線。水平線に沈み行く太陽を眺めながら聞いてみてください。ロマンティックのさざなみが、きっとあなたと隣に座る人に届くはず。ドライブだけでなく、月明かりか蝋燭の光にゆれる薄暗い部屋で、膝小僧を抱えながら聞くのもいいかもね!ああ、でも泣いても知りませんよ!

FILIPPA_BGIORDANO.jpg

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