2004.11.14
The Rolling Stones Steel Wheels (1989)
大英帝国の偉大なる不良少年「ストーンズ」のお気に入りベスト3、第2位は「スティール・ホイールズ」です。思い返せば1973年の日本初公演の決定と突然の中止、そして流れた20年近い歳月は少年を大人にするには十分すぎるほど長い時間でした。そしてバブルで沸く日本、1990年。とうとうストーンズがやってきたのです。「STEEL WHEELS TOKYO 1990」その記念すべき初来日に先立ち発売されたのがこのアルバムでした。
前回の「アンダーカバー」から6年、ブライアン・ジョーンズが産み落としたカウンターカルチャーの申し子もすでに四半世紀が過ぎ、かつての「カミソリストーンズ」達も「大人」と呼ばれる年齢になりはしたけれど、「円熟」という二文字の中にはやはり納まりきらない不良少年達の演じる「ロックンロール」のかっこよさが、大人の振りをしていた私を「あの頃」に引き戻します。
では曲目です。
1.Sad Sad Sad
2.Mixed Emotions
3.Terrifying
4.Hold on to Your Hat
5.Hearts for Sale
6.Blinded by Love
7.Rock and a Hard Place
8.Can't Be Seen
9.Almost Hear You Sigh
10.Continental Drift
11.Break the Spell
12.Slipping Away
1曲目からR&R全開のこのアルバム、「アンダーカバー」で垣間見えていた少年の戸惑いや躊躇いのようなものは消え去り、自信と確信のうえで彼ららしいやりたい放題が演じられます。3曲目「Terrifying」、キースとロンのギターがかっこいい。ミックのボーカルも余裕綽々、チャーリーのドラムスもよいよいのです。夜更けの首都高を音速で駆け抜けてゆくよう・・・そして4曲目の「Hold on to Your Hat」、この曲なんぞ聴けば、「あれっ?バン・ヘイレンってイギリスのバンドだったのかしらん?」と思ってしまう。キースのしゃがれたほくそえみが目に見えるようです。このアルバムでの私の一番のお気に入りが、7曲目の「Rock and a Hard Place」、あーもう完全に脳みそが壊れるー!次の「Can't Be Seen」でボーカルをとるキースの「Woo!」という掛け声にも余裕ありです。9曲目「Almost Hear You Sigh」はバラード。かの名曲「アンジー」はもう歌わないミックの、21世紀へのまなざしを感じます。次の「Continental Drift」はなんと中近東風味。この曲なんぞ聴くと、やはりストーンズは「転がり続ける石」なのであって、「かつてああだった、こうだった」という尺度で決して測ってはいけない、それが40年と言うキャリアを続ける彼らの強みであり、私たちが払うべき敬意のベースなのではないでしょうか?そしてキースの歌うエンディング「Slipping Away」。どこかしら西海岸の香りもするけれど、やはりこれはストーンズでしかありえない。どこまで彼らは、私たちを連れて行くのでしょうか?
1979年公開の映画「太陽を盗んだ男」で、沢田研二演じる主人公が当時発売されたばかりのマツダRX-7を駆り、盗んだ原爆を携えて、「ストーンズを呼んで武道館でコンサートをやれ!」と要求していたのも今では懐かしい思い出です。
「Let's Rock'n Roll!」