2004.11.24

ROCK

The Rolling Stones Dirty Work (1986)

 さて、いよいよ私の選んだストーンズベスト1は、1986年リリースの「ダーティー・ワーク」です。前作の「アンダーカバー」から3年、新しい時代の波の中で、吹っ切れたようにローリングしているのがこのアルバムなのです。90年代になると、重ねる年齢と時代の流れの中で、ややもするとソフィスティケートされてゆくストーンズ節ですが、このアルバムでは脂の乗り切った男たちの、ロックとブルース、そしてロックンロールに対する情熱がほとばしっています。

曲目は・・・

1.One Hit (To The Body)
2.Fight
3.Harlem Shuffle
4.Hold Back
5.Too Rude
6.Winning Ugly
7.Back To Zero
8.Dirty Work
9.Had It With You
10.Sleep Tonight
11.Untitled

1曲目、「One Hit」どうだっていうか、どうなんだっていうか、とにかくカッコいいのです。後半のギターは、なんとジミー・ペイジが弾いています。この1曲だけでもストーンズのファンでよかった、幸せだと思えてしまう。もちろん、肩は斜めに自然と入ってゆきます。2曲目の「Fight」だって負けてはいません、カッコいい。実はこの曲は当時の二人の不仲を象徴するかのような曲なのですが、ろくに顔もあわせないミックに業を煮やしたキースが「ジャンピング・ジャンプ・フラッシュ」のリフを弾き始めたところ、それにロニーが加わり・・・というジャム・セッションから、この曲は出来上がったそうです。なんともはや、そんなことがこんな曲になるなんて、やっぱりストーンズは偉大なんですかねぇ。続くR&B風の「ハーレム・シャッフル」でのミックのボーカルも、なかなかのソウルフルです。

実は前作「アンダーカヴァー」をリリースはしたものの、通常は新作発表とともにツアーに出るのが恒例なのに、ストーンズはツアーに出ることはありませんでした。このアルバムは当時ミックとキースの間に生まれた亀裂が徐々に表面化し、ソロアルバムで頭が一杯のミックに対し、あくまでもストーンズのニューアルバムを進めたキースの、いわば「キース・リチャーズ・アルバム」なのです。

4曲目の「ホールド・バック」では、「経験者の声を聞け/賢人の言葉に耳を傾けろ」とパワフルにミックが訴えるのですが、いったいどっちがどっちに言い聞かせてるのかと思ってしまいます。「喧嘩両成敗」ですぞ!

8曲目はアルバムタイトルでもある「ダーティ・ワーク」相変わらずパワフルなミックのボーカルの後ろで、キースとロニーがギターバトルをしています。最後はキースのバラード「スリープ・トゥナイト」で、このアルバムが「キース・アルバムであることを再び教えてくれます。

バンド的には非常に不安定な時期に出されたアルバムですが、それが返ってキースのアルバムへの情熱になり、またミックの吹っ切れたようなパワフルなボーカルになったのかもしれません。曲によっては「1発テイク」を思わせるところもありますが、それもかえって彼らのストレートなロックンロール、ストーンズ・ミュージックに一役買っているのでしょう。ストーンズファンもそうでない方も、是非是非聞いてみてください。抜け出せなくなっても責任は持ちません。

ワンヒット  対訳:西森マリー

お前は碧い空から突然、暗い地上に落ちてきた
お前の体の匂いをかぐと、ドキドキして血が騒ぐんだ
神様、助けてくれよ

体に一撃食らったのさ、心の底からの一撃なんだ
体に一撃食らったんだ、ど真ん中に命中したぜ
神様助けてくれ
お前の体からもう一発、心の底からもう一発

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