2005.03.20
THE ART OF TEA by Michael Franks(1975)
今日から新しいジャンルとしてAORをはじめます。AORとは、Adalt Oriented Rockの略で、主に70年代から80年代のポップスとソフィスティケートされたロックが癒合したような大人しめのロックというか、おしゃれなロック・ポップというか、そんな風なものです。ちょうど、JAZZがフュージョンに移行し、ポップス、JAZZ、ロックの垣根が取っ払われたころの音楽を、後に AORと称して、レコード会社が宣伝したのです。ですから、まあ、70年80年代の軽めのロックと思っていただいて問題ありません。
で、トップ・バッターは・・・ちょっとはずしてマイケル・フランクスの1975年のアルバム「アート・オブ・ティー」です。ちょうど高校3年になった頃だったでしょうか。当時付き合ってた彼女に教えてもらったのがこのアルバムでした。その頃の私は、どちらかといえば名残りのハードロックやサザンロック、ウェストコーストなどを聞いており、このマイケルのちょっとふにゃっとした歌い方と、ジョーサンプルのキーボード、ラリー・カールトンのJAZZYなギターに、なんだかすごく大人の世界を垣間見たような気がしたものです。というか、その頃の私と比べて、彼女はなんて大人だったのでしょう・・・
ものすごくブルージーな、ラリーのギターとジョーのキーボードで始まる1曲目の「Nightmoves」。クロスオーバー的なサウンドだけを聞いても納得の一曲です。歌詞だってしっかり大人の恋の物語。「小さな恋のメロディ」ではありません。(CSNYはそれはそれでいいのですが)5曲目の「I Don't Know Why I'm So Happy I'm So Sad」、軽快なメロディとリズムにのせてやはりちょっと悲しい大人の恋が歌われます。悲しく素敵なラブソングです。
I have been hurting for someone so long,
Is it You?Is it You?
そして、私のこのアルバムでのベストお勧めは、9曲目ラストの「Mr. Bleu」。ジョーの泣かせのアコースティックピアノの調べにのせて、ものすごくブルーな恋が歌われます。出だしの一音で、もうこの曲の全てがわかってしまうような悲しい曲。
We touched like watercolor fawns
In landscapes painted by Cezanne,
Or lovers floating
Painted by Chagall.
(中略)
You say your lover buys you lace
I say:"He's fine.I like his fase."
自分の聞いてる音楽で、セザンヌやシャガールが出てきたのは初めてでしたし、自分のもとを去っていった恋人の相手のことを、「He's fine.I like his fase.」といえる事。
「ああ、これが大人の恋なんだな」って・・・こんなにブルーなのになって、そう子供心に思ったものです。あの頃の自分、今の自分。なんだかあまり成長してないなぁ・・・TAMIKOさん、お元気でお暮らしですか?というような個人的な話に終始するのではなく、30年も前の曲とは思えない、ブルーなラブソング集をぜひ聞いてみてください。