2005.10.26

COLUMN

「目的はパリ、目標はフランス軍」

BLUES ette by Curtis Fuller (1959)

もう水曜日。午前中、見積り提出でお客様を訪問。その足で別件サポート。戻って昼食。午後は別の納品。その後は見積もりやら書類色々。夜はWebデザイナー講習でした。別に人がどっと増えたわけではないのに、最近社内がやたらと賑やかです。仕事がなくて、暇にあかしてのお喋りなら由々しき事態ですが、そうでもなさそう。みんなてんこ盛りになってます。こういう状態がポジティブな状態というのでしょうねぇ。みんな張り切って、自分の仕事に自信を持ってやっているようです。とてもいい感じです。でも、歯磨きは休憩時間に済ませましょう!

今日は昨日の投稿をさらに深堀してみます。というのは、昨日「目的」と「手段」という言葉を使いましたが、戦略定義上は「目的」のより具体的なものとして「目標」と言う言葉があるからです。きちんとした議論をするには、まず言葉の定義といいますか、言葉のもつ意味を参加者全員が共通認識を持つことが必要になります。そこで、これら3つの言葉を、簡単に定義して見ます。

 目的:抽象的な目標、「何のために?」に対する解

 目標:達成可能な到達点で5W1Hで具体的に表せるもの

 手段:目的を達成するための方法、手法、道筋などの選択肢


たとえば、「目的−手段」だと「遠くに行きたいので、車を運転する」というのは、「目的:遠くに行きたい」「手段:車を運転する」ということになります。一方「目標−手段」だと「明日の夕方5時までに金沢市役所に行くので、車で何時に出発して、高速道路を使ってこのルートでいく」ということになり、そのときには「転入届を出すという目的」を付与することも可能です。ただ、「車の運転が楽しい」という価値観を持っている人には、車の運転という「手段」が「目的」にもなりえます。つまりその人の価値観によっては、「手段」が「目的」になりえるのです。

ただし全ての手段がそうなるとはいえません。個人的な趣味の話であれば、どんな内容でも「目標」「目的」「手段」になりえますが、こと一般論もしくは普遍的な結論が必要であれば、ありえない目的が設定されないために、この3つは慎重に選択する必要があります。また、時として「手段」を選ぶことが与件事項としてあり、そのためにそれにフィットする「目標」を後付するなんて事が、日常ではよくおこるのですが、「にわとり玉子」ではなく、もちろんまず「目的」があり、そのために「目標」を定め、そして代替案のなかから「手段」を選択するということが、必要ですよね。最近の軍事戦略策定プロセスのトレンドは、演繹法と帰納法を組み合わせた、「演繹的帰納法」なるものを使いますが、これもまず初めに「演繹」ありきです。クラウゼヴィッツ曰く「目的はパリ、目標はフランス軍」なのです。

今夜のお供は、トロンボーン奏者、カーティス・フラーの「ブルース・エット」。ファンキーサウンド全盛の当時、延々と展開される熱いソロ演奏ではなく、一糸乱れぬアレンジとメロディラインに興味をもったサックスプレイヤーがいました。その名はベニー・ゴルソン。そして彼が目をつけたのがカーティス・フラーであり、当時のアートファーマーでした。同時期のジャズ・メッセンジャーの名盤「モーニン」での見事な2管のアレンジメントも、実は彼の仕業だったのです。この「天性のハーモニー感覚」を持ったゴルソンの魅力は、1曲目「Five Spot After Dark」から全開です。二人の絶妙のハーモニーの狭間で、トミフラのピアノも「いわゆる」冴えます。全曲を通して、マイルス&ギル・エヴァンスとは異なるアンサンブル&ハーモニーへのアプローチは、安心して聞ける大人のJAZZでもあります。

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