2005.11.04

Books

「夢の製造マシーン」

Serenade to a Bus Seat by Clark Terry Quintet (1957)

週末です。昨日は祭日でお休みだったということで、2日分の仕事を1日で消化しようというのは、やはりちょっと無理がありますねぇ。午前中、お客様を訪問して今後の方針の打ち合わせ。行き帰りの車中でも、携帯電話で打ち合わせ問い合わせ指示をあれこれ。携帯電話ってほんとに便利ですよねぇ。今の携帯電話は1年ちょっと使っているのですが、そろそろ電池の寿命なのか、途中で補充しないと夕方までもちません。すごく気に入ってるのですが、そろそろ換え時でしょうか?

午後からは別のお客様を訪問して講習会をさせていただきました。御題は「インターネットの現状とトレンド」。でも、一番盛り上がったのはカープの話だったりする。広島から受講の方も、カープの話しになるといきなり「広島弁」になったりして・・・戻って制作会議に飛び入り。会社のコンピタンスをちょっとだけ上方修正。常にテーマは高いところになりますよー。その後、社員全員参加の自社企画のミーティング。こちらはテーマが広すぎて結論に至らず、来週に持ち越しになりました。その後営業会議。こちらはコンピタンス求めて思案六方といったところです。「会議は踊る、されど進まず。」時間超過のため本日の社内研修は延期となりました。見積もり作成やら事務処理をして退社。こうして11月第一週は暮れてゆきました。

先日からの「失敗の本質」について。今日は「戦略上の失敗要因その2」の「短期決戦の戦略思考」についてのお話を。でも、これ自体は私的にはいいのではないかと思っています。というのも、戦争とはそもそも「短期決戦での勝利」か、「長期持久戦もしくはゲリラ戦での勝利なき戦い」しかないのではないかと思うのです。たとえば、直近で言えばイラク戦争では、アメリカを中心した多国籍軍は、一気にバグダッドを陥落させました。ここまでは決戦勝利といえるでしょう。ところが、今現在はというと、さまざまな問題からテロという名のゲリラ戦の様相を呈し、長期戦っぽくなっています。ここまでくると、この戦争の「勝利」という言葉の意味も違ってきたのではないでしょうか?

私が考える日本軍あるいは大本営が間違っていたものとは、「短期決戦」志向ではなく、「長期戦略あるいは目標の不在」だったと思うのです。「大東亜共和圏」という壮大な構想はありましたが、これが国民一丸となって、戦い抜く目標になりえたかといえば、どうだったでしょうか?太平洋戦争自体が、「ハル・ノート」によるアメリカからの一方的宣戦布告であるなど、さまざまな理論的可能性を秘めていて、そもそも戦略構想自体構築可能だったのかというようなこともまだまだ議論の余地があるでしょう。

というわけで、日本軍の「短期決戦の戦略思考」はその結論を留保させていただくとして、私たちのビジネスの現場ではどうでしょうか?40年代のわが国のように、まるで兵糧攻めのような状態に会社が置かれる前に、やはり目標と目的を明確にし、戦略は長期・短期のバランスをとりながら、短期戦略の遂行と成功を積み重ね(時には敗北もあるでしょうが)、結果的に長期の戦略を支援しながらそれ自体を遂行し、当初の目標を達成することが必要なのでしょうね。

ビジネス戦略策定手法に「バランスド・スコアカード」というものがあります。これ自体は米国よりの輸入物ですが、そもそもこれは、米国の経営者のあまりの短期成果追求型に対し、日本では一方で終身雇用など長い目で企業を続ける仕組みがあるとの研究から提唱された理論なのです。「短期」か「長期」か。それは決してトレードオフではなく、両立可能な枠組みであり、会社あるいは経営者に求められているのは、人々の心を動かし、人々の心をひとつにさせ、わくわくするような情動をあたえるテーマを、社員に提供し続けること、つまり「永続的な(いい意味での)夢の製造マシーン」であり続けることかもしれません。

さて、今夜はクラーク・テリーの「Serenade to a Bus Seat」です。ちょっとマイナーなトランペッターですが、彼はこのアルバムの録音当時もデュークエリントン楽団のペッターであり、そもそもサイドメン的な人です。とりたてて個性があるわけではないのですが、ガレスピー的な明るいトーンは、聞いてて元気が出ます。このアルバムの特徴は、実は参加メンバーにあります。テナーがジョニー・(ぐりぐり)グリフィン、リズム隊はウィントン・ケリーにチェンバース、フィリー・ジョーという例のマイルスバンド。これだけでもハードバップむんむんです。グリフィンのアルバム、あるいはこのリズム隊のアルバムをお望みの方にも結構お勧め。もちろん、ハードバップ命の方にはそろえていただきたい一枚です。

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