2005.12.09

COLUMN

「愛は地球を救えるか・・・」

Live! at Cafe Bohemia by The George Wallington Quintet (1955)

小学生が被害者の殺人事件が連続して起こりました。つい先日も、地元で白昼殺人事件があったり・・・本当に、日本はどうなってしまうんでしょう? かつて3世代で暮らしていた頃には、長年一緒に暮らしてきた家族がその天寿を全うしてゆく様をしっかり見つめ、「死」というもの、そしてそれを通した「命」というものの大切さ、尊厳などを家族を通して社会の中で自然に、そしてしっかりと学習していたものです。

私は祖父・祖母の臨終に立会い、長寿を全うした彼らが死んでゆくことがどれほど大変なことなのか、生と死のはざまの広さ、深さを彼らの往生のドラマを目の当たりにして、しっかりと心に刻んだものです。

ところが近年、核家族化などで家族の往生に立ち会うことも少ない、それよりも日常の映像やゲームから入ってくる薄っぺらい、何の匂いもしない「死」が身の回りに溢れてしまって、目の前の「生」を雑誌を閉じるようにぱっとひっくり返すとそこにもう「死」があるかのような、そんな時代になってしまっています。「やれうつな、蝿が手をする 足をする」「一寸の虫にも 五分の魂」そんな優しかった時代はもう取り戻すことは出来ないのでしょうか?

でも、明るいニュースもありました。俳優の渡辺謙さん(46)と女優の南果歩さん(42)がご結婚。そして今日も俳優の市村正親さん(56)と篠原涼子さん(32)がご結婚。こちらは24歳という年の差ですね。うん、どちらにしてもおじさんたちにはとっても勇気をもらえる、いいお話です。恋愛の源が「種の保存本能」であるのかどうかは知りませんが、誰かに恋をすること、誰かのことを一生懸命思うこと、誰かが誰かを支えること。大事ですよね。

世界中の人たちが、みんな毎日そんな思いでいられるなら、戦争も暴力もなくなりはしないかと思うのですが、そこがまた人間のややこしいところ。一方で「闘争本能」などというものがあったり「嫉妬と羨望」や「憎しみ」という感情があり、それらは時としてどうすることも出来ないものであることを、歴史が教えてくれます。確かに過去は振り返っても取り戻すことは出来ません。だから明日からは、もうこれ以上誰を傷つけることもなく、また一人でも多くの誰かを幸せに出来るように、そしてささやかでもいいから誠実に穏やかに生きてゆきたいものです。

今夜のBGMは、ジョージ・ウォーリントンのアルバムです。CDもこれだけもってると、買った日に聞いたっきり、その後まったく聞いたことがないものが存在します。このアルバムなどもその一枚。ウォーリントンは白人のピアニスト。といってもあまり有名ではなく、その演奏もパウエルをへたくそにして漂白した感じです。つまり白人なら売れるかもと、プレステージが企画したアルバム!?(かも)じゃあ、なんで買ったの?というと、実はJAZZ界では有名な寺島靖国さんなるJAZZ喫茶「メグ」のオーナー兼JAZZ評論家がおりまして、彼がとある著作の中で「棺おけの中にはこれ一枚!」みたいなことを書いていたので、「じゃあいっちょ聞いてみようか」というのりだったのです。で、このアルバム、ドナルド・バードにマクリーンという2管クインテットものなのですが、いきなり1曲目の「Johnny One Note」で私は難なくこけてしまって、そのままラック入りとなっておりました。確かに今聞いても、この曲と続く自作「Sweet Blanche」はやっぱりばらばらーのどたばたー。でも、3曲目あたりになると、二人のラッパとサクスが結構ぴたっと合い始め、なかなかのハードバップを聞かせてくれます。バードのブライトなペットに、マクリーンのこもったようなアルトの掛け合い。若きフロントラインの演奏を聞くには、なかなかのアルバムです。正直、トリオには聞くべきものはありません。バードもしくはマクリーンのコアなファンの方に!

George_Wallington.jpg

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