2006.04.07 COLUMN 経る時(HURUTOKI) by Yumi Matsutoya 窓際では老夫婦が ふくらみだした蕾をながめてる 薄日の射す枯木立が 桜並木であるのを誰もが忘れていても 何も云わず やがて花は咲き誇り かなわぬ想いを散らし 季節はゆく 二度と来ない人のことを ずっと待ってる気がするティールーム 水路に散る桜を見に さびれたこのホテルまで どこから来て どこへ行くの あんなに強く愛した気持ちも憎んだことも 今は昔 四月ごとに同じ席は うす紅の砂時計の底になる 空から降る時が見える さびれたこのホテルから