2006.04.25
「JR事故と私たちの使命」
Dig (1951)
火曜日になりました。今日もお客様2件訪問。1件はサイトの打ち合わせ、1件はNTTさんの「フレッツグループ」導入の立会い。弊社が管理させていただいているこのネットワーク、全体ではWin&Mac織り交ぜて端末20数台、サーバ3台、5拠点のVPNです。「フレッツグループ」もなかなか使いやすい物になってきたようですねぇ。あとは安定稼動ですか・・・って、これって大事ですよねぇ、本来。AR450に負けないように、よろしくお願いいたします。戻って引継ぎシートを記入して社内引継ぎ。あれこれと事務仕事を済ませ、客先打ち合わせに出かけたままの社員さんたちを残し、今日も(!)早めに退社させていただきました。
今日はJR福知山線の脱線事故からちょうど一年になるのですね。早いものです。でも事故で家族をなくされた方々や乗り合わせて怪我をされた方には、どれほど長い一年だったことでしょう。心中お察して余りあるものがあります。世の中、本当にせわし過ぎます。「スローライフ」や「スローフード」などという言葉があること自体がもうすでに間違っているような気がします。私たちの仕事も、この「世のせわしない化」に一役買っているところもあるでしょう。ネットで瞬時に情報が行き来する。アナログでフィジカルな人間自体がそれについてゆけない。いや、ついてゆくことを強要される。転ぶまで走ることを余儀なくされる。
もしかしたら、もっともっと使いかたを考えれば、情報は光の速度で投げながら、人は原始に戻れるかもしれませんよ。光の速度で移動できるものだけそうさせていればいいのですよね。人間は違います。人間は人間らしく、動物らしく。お客様への私たちの提案の中にも、そんな人間回帰のコンセプトを織り込んだ提案が出来るような気がします。そもそも私たち「わんだー」がその中心に捉えているものは「人」のはずなのですから。
さて、今夜はマイルス3枚目、「Dig」です。先週末あたりから、帝王マイルスさまはすっかりジャンキーやってます。どっぷりです。明けても暮れても、ジャンキー・マイルスです。今日もそのまんまです。朝からやってるはずです。いや一晩中やってたかもしれません。マイルス様のジャンキー生活は53年暮れまで続きます。その間を伝えるアルバムも何枚かあるようですが、それはそれはひどいもののようです。そして51年10月録音のこのアルバムは名門「Prestige」レーベルですが、メンバーは当時のジャンキー仲間大集合。ロリンズにマクリーン、ビショップにポッターにブレイキー。ですがこの日のマイルスさまは何故か好調なのです。
1曲目のマイルス作の「Dig」。ブレイキーのバシャバシャ・ドラミングをバックに、3管のフロントライン。まずはマイルス、ロリンズにソロを取らせます。アルバムには「MILES DAVIS featuring SONNY ROLLINS」と書かれてあるし・・・そんなロリンズ君、当時はハーレムではちょっとした人気者のロリンズ君、若干頼りなげですがなんとか役目を終えマイルスさまにバトンタッチ、うんなかなかのトランペット・ソロではないですか・・・後半ブレイキーのプッシュにあっても、ひるむことなく見事に吹ききります。ヨレヨレ・マイルスではないのです。しかし次のマクリーンの番になっても、ブレイキーは興奮したまま・・・マズイぞこれは・・・いやー、これが実質バージン・レコーディングのマクリーンはさすがにしどろもどろです。与太ってます。とりあえずマクリーン・トーンではあるのですが・・・で、マイルス怒る。さすが帝王です。帝王は怒ると怖いのです。二人の舎弟の仇は俺が打つとばかりのえらい剣幕です。そうなんです、なかなかいいのです、マイルス。好調なのです。薬(ヤク)をやってると良い時と悪い時のムラが大きいのかどうなのか、ヘロイン未体験の私には想像に余りあるのですが、とにかく今日のマイルス様は好調なのです。音色もフレーズも艶やかかつ力強い。それにしてもブレイキーの音を聴くと、本当に50年代が始まったんだなって思いますねぇ、中山さん。例の「ナイヤガラ瀑布」にはまだまだ至ってはいませんが、共演を奮い立たせる彼のプッシングは、この頃から始まっていたのですねぇ。
シアリング作「CONCEPTION」は、音は古いがアレンジは新しい。マイルス、ちゃんと9重奏団の経験を生かしていますねぇ。実はマイルスのすごさというか、当時のバッパーとの違いは、さも突発に聞かせながら、実は推敲に推敲を重ねたようなアンサンブルやフレージングの妙にあるのです。つまりアドリブ一発ではない楽曲、あるいは作品としての音楽を目指すということ。これは後々の彼を理解するキーワードになるのです。はい、よーく覚えておいてくださいね。テストに、出しますよ!
いずれにしても、全編ハードバップ一色の小学校の運動会のような、体が前に前にとつんのめるような快演。いよっ、マイルス! いけっ、ブレイキー! なアルバムなのです。オープンが自然なマイルスを聴いてみたいあなたに。20bitですがモノラルです。