2006.05.01

COLUMN

「ありがとう。」

Bags Groove (1954)

連休の狭間の月曜日、でもいつもと変わらぬ月曜日。うちはお客様が会社関係が多いので、旗日以外は何かとやり取りがあります。電話応対にあれこれデスクワークをやってお客様を訪問。私たちは、たかが「出入りの業者」に過ぎないのですが、お客さまにはいろいろお気遣いをいただき、また信頼していただけている。とてもありがたいことです。社に戻って営業会議。その後、ちょっと遅れて同友会の「G会顔合わせ会」に参加。全員参加で、皆さん本当にありがとうございました。といっても今年度は始まったばかり。どうか1年間よろしくお願いいたします。大切なことはファンデーションですね、幹ですね。これさえしっかりしてれば、後は枝葉の問題です。局長、お疲れ様でした。林さん、いつもと変わらぬおいしい食事をありがとうございました。

よく、「なんで会社を興したの?」と聞かれます。以前勤めていた建設会社でのこと。仕事は現場監督ですので、工事が無事終わりお客様に引き渡すと、お客様から「ありがとう」のお言葉をいただけます。そうすると、それまでのいろんな苦労とかがいっぺんに吹き飛んでしまう。なんならその言葉を聞きたいがために、一生懸命仕事をしているようなものでした。でも、それはあくまで「○○建設」という錦の看板の下でのこと。じゃあ、「宮内」という看板の下で「ありがとう」と言っていただけたらどれほどうれしいだろうか???その上、ぼろっちくても「宮内」ブランドなんて出来たら、どんなに自分に誇れることか。そういう単純なことが実は動機なのです。

人は慣れる動物です。それはいい時もあり悪い時もある。ただ、お客様からいただく「ありがとう」はいつまでもいつまでも大切にしてゆきたいし、社員さんとか依頼した人から返された時、やはりきちんと心から「ありがとう」がいえる関係、そんな人間でいたいなと、連休の狭間の今日、トホホ社長は改めて思ったのでありました。

「マイルスよもやま話」の第7話。今夜は、通の人はご存知の、モンクとの喧嘩セッションが通説の「Bags Groove」です。前回の「Walkin'」をハード・バップ始動というよりは、マイルスの試行錯誤と捉えたトホホな私ですが、このアルバムもその流れを汲む一枚だと思えて仕方がないのです。

とっても印象に残るデザインのこのアルバム、2回のセッションがまとめられています。1回目は54年6月。メンバーはロリンズにシルバー、ヒースにクラーク。曲としては3曲目から7曲目になっています。「Airegin」「Oleo」「Doxy」とロリンズ作が目白押し。他には、ガーシュウィン作の「But Not For Me」が2テイク。

そして2回目のセッションが同年12月の、いわゆる「喧嘩セッション」と呼ばれる2曲。タイトルのジャクソン作「Bags Groove」のテイク1とテイク2がそれぞれ1曲目、2曲目。つまり年代と曲順としては逆になっています。なぜ「喧嘩セッション」と呼ばれているかというと、この曲それぞれ、マイルス→ジャクソン→モンクとソロが続くのですが、マイルスのソロの時モンクは弾いていない。ジャクソンの時には合いの手を入れているにもかかわらず。で、マイルスがモンクに「弾くなよ」と言ったとか言わないとかで、喧嘩になったと言われているのです。マイルスの自伝を読んでも、そんな話は一切出てこないし、その辺のことは中山氏も切々と述べておられます。私も同感で、この頃のマイルスは、どうもモンク的なる物というか、非バッパーのフレーズや間の取り方をトライしていた様な気がするのです。そんな、まあ言えばまだ完成されていないモンク風トランペットの後ろで、本物のモンクス・ミュージックをやられたのでは、帝王様のメンツ丸つぶれ、いやオリジナリティが出にくい、そう帝王さまはお考えになったのではないでしょうか?

モンク学校を卒業すると、大きく変貌を遂げてオリジナリティを発揮したのは、身近な例ではコルトレーン。彼がモードからシーツを完成させたのは、モンクとのセッションから。ね、多分帝王様もそう感じた。何か違うもの、新しいものを感じた。でも帝王たるもの、そっと寄り添って盗み見するわけには行かない。だからベースと太鼓だけでソロを取りながら、実は後ろに控えるピアニストのやりくちを盗んでいたのではないでしょうか? そう思うと、半年後のマイルス様のフレーズがずいぶん違うことに気がつきます。特にテイク1で太鼓とベースだけのバックで吹くマイルス様の音色は、すでに10年先を行っている様な気がするのですが・・・

以上が私見に私見を重ねた私の私見なのですが、いかがでしょうか? ですから後半の5曲はいずれにしても「Walkin'」の流れのまま。しいて言えば、ロリンズ君のまだちょっとイモなテナーに、「Walkin'」とは違うグループとしての図太さというか、アーシーというか、オリジナリティを感じるところ位でしょうか? 4曲目の「Oleo」では、ソロでふんずまっておろおろしているロリンズ君を、シルバーが「おらおら〜」とブロックコードでけしかけるところが笑えます。ロリンズファンは必聴、もちろんマイルスファンも名盤などと肩を入れず、成長と変貌を遂げつつあるマイルスが聴ける名演です。ちょっとコアなMJQファンも必聴かな?

bagsgloove.jpg

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