2006.05.10
「現実と仮想現実、そしてロスト・ワールド」
Steamin' (1956)
水曜日です。午前中は来客やら手配やらあれこれ。(って、最近「あれこれ」という言葉が、やたら目に付きますが・・・)お昼は部長と某中華料理屋さんへ。のんびり昼食のようで実は経営会議だったりする。というか、大事なことは雑談でも何でもいいので、きちんとコミュニケートすることですよね。それが信頼関係を醸成してゆくのだと思います。午後からお客様を訪問したり企画やら調べ物やら。短い社内ブリーフィングを済ませ、夜は同友会のグループ会の初会合に参加しました。来月担当の例会の運営会議でしたが、役員さんをはじめ相談役の方々、そしてグループの皆さんも、お忙しい中参加いただきました。ありがたいことです。私も微力ながらがんばらねばと、決意も新たに、箸は進む・・・ああ、美味しかった! なわけで、今週も半分終わってしまいましたねぇ・・・トホホです。
うちの社業はどっかりとインターネットの上に乗っかってるわけですが、以前はよくインターネットがバーチャル、つまり仮想現実の世界であり、一方の実社会をリアルなどと区分けする話をよく聞きました。曰く、バーチャルはあくまでバーチャルである。曰く、バーチャルな世界にはまって、現実を忘れている、などなど。確かに、現実世界で己の立つ位置を確立あるいは認識出来ずに、バーチャルの世界に入り浸り、力を誇示したり暴力を振るったり、つまり仮想の自己実現を図る人たち、そして現実の世界との軋轢が、犯罪として実を結んでしまう例は後を絶ちません。
しかし、うちの会社のスタンスは、そのような対立の構図ではなく、あくまでも主役はリアル・ワールドであるということ。そしてその現実社会をより便利にするための情報伝達手段として、インターネットというものを捉えています。だから、自社の運営するポータル「net087」は、インターネットの世界への入り口ではなく、むしろ逆の現実世界への入り口の一つであるべきである。そう思っています。
確かにBtoB、BtoCを含め、インターネットを介して行われる商取引は、年々増すばかりです。しかしそこで勘違いしてはいけないことは、価値交換の情報がやり取りされているに過ぎないという現実です。その辺を取り違えると、数年前の「ネット・ショップは儲かる」みたいな短絡的視野と近視眼的経営行動に陥ってしまう。すくなくとも自社は、これからもインターネットの真ん中に居ながらリアル・ビジネスを実現するお手伝いをする、そんなスタンスを保ち続けて行きたいと思っています。
「マイルスよもやま話」の第11話です。昨日の長い投稿にお付き合いいただけた方は、今夜が進行形シリーズの第2弾「Steamin'」だと予想できたはず。はい、その通りです。
今日のジャケットはどうですか、なかなかかっこいいでしょ。マイルス様がくわえタバコに火をつけてる。これがなんで「スチーム」と関係あるかは不明なのですが・・・まさか、蒸気機関車の運転手が、石炭くべるの疲れてちょっと一服、ってことではないと、固く信じております。
さてこのアルバムも、全6曲のうち5月録音が5曲、10月が1曲で、前作「Workin'」とほぼ同じような構成になっています。で、3曲目の「Something I Dreamed Last Night」と6曲目の有名なスタンダード「When I Fall In Love」はマイルスさまだけのワンホーン。全体的にそうなのですが、特にこのワンホーンの曲を聴くと、ボーカリストが切々と歌い上げるように、マイルス様が吹き上げている。まるで、シナトラやマクレーが歌っているかのごとくです。これは、よく言われる「卵の殻の上を歩く」というニュアンスともちょっと違う、マイルスの歌物に対する思い入れとでも言いましょうか・・・実際マイルスは歌物が好きで、50年代の「ボギーとべス」や80年代の「タイム・アフター・タイム」など、その趣向を垣間見ることが出来ます。もしかして彼は本当はボーカルがやりたかったのかも・・・などと思ってしまう。いや、あなたはトランペッターでよかったのです。ただ、そういう彼の趣向が、JAZZしかやらなかった多くのミュージシャンが短命に表舞台から去っていったのとは対照的に、その多用な音楽性と時代の中で変化してゆく柔軟性に大きな影響を及ぼしていると思うのですが・・・。
2曲目のグッバイ・ガレスピー「Salt Peanuts」では、フィリー・ジョーの堂々たる太鼓ソロが聞けます。えっ? コルトレーンですか? はい、下手です、相変わらず。(そりゃそうでしょ、同じ日の録音なんだから・・・)前作同様、お気楽にお楽しみいただけると幸いです。プラス歌物マイルスに触れてやってください。