2006.07.18

COLUMN

「(葛原風)火曜日は難しい・・・」

E.S.P. (1965)

週明けです。雨は降りましたが火曜日。はぁ〜やはり、月曜だろうが火曜だろうが、休み明けは体力的にどんよりしてしまいます。年ですかねぇ〜。でも、今日もいろいろとお仕事をいただきました。ありがとうございます。ほんとうにありがたいことです。納品も何件かあったようです。「お客様は神様です。」・・・というと、クリスチャンになってしまうので(三波春夫はクリスチャン?)、「お客様は仏様です。」・・・ん〜微妙ですねぇ。なんだかこの世のものではないような・・・。で、うちのミッションでは「お客さまとは、私たちの仕事の目的です。」はい、今日もちゃんと読み上げしました。ちなみに今日の御題は、軽く「雨」でした。10人10色の雨模様。午後から某所で某氏と某氏の3人で密談。いや、結構大きな声で喋ってましたが・・・。某氏さま、貴重なお話をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。ちなみに今日から、以前紹介した「コロ助」復活です。あっ、別に見かけても、手を振ったりしなくて結構です。わき見運転は、とっても危険ですから・・・

えーっと、今日はマイルス直行便です。いえ、決してよもやまネタ切れなどとは言わないでください。そうかもしれません。「雨の日と火曜日」は、ネタに困るのです。

で、今夜のマイルスは、60年代プラチナ・クインテットの初めてのスタジオ録音「E.S.P.」です。マイルスの場合、スタジオ録音で発表した曲を、ライブでどんちゃらやってくパターンなのです。つまりは、これまでの定番メニューではなく、ちがった組み合わせになると言うこと。実は、プラチナメンバーたち自体、そろそろ定番に飽きちゃってて、自分たちのオリジナルをやりたくてうずうずしてました。マイルスも、「おお、そうか。じゃあ、いっちょやってみんしゃい!」と、新メンバーの曲をメインにスタジオで録音します。このアルバムの全7曲の作曲者の内訳は・・・

マイルス・・・1曲
マイルス&カーター・・・2曲
ショーター・・・2曲
カーター・・・1曲
ハンコック・・・1曲

1曲目ショーター作「E.S.P.」、短いテーマの後なんとソロをとるのはショーター。この辺の「部下をよいしょの帝王の心意気」、見習いたいものですねぇ。曲自体は、とにかく何もかもが新しい。いや、これまでの定番の演奏中のアドリブで新しく曲を作ったって感じかも知れません。でも、新鮮です。弾むようなハンコックのピアノが印象的。2曲目のカーター&マイルス作「Eighty-One」は、マイルス史上初めての8ビートもの。雰囲気的には、リー・モーガンのサイドワインダーもどきではあります。(ちなみにあちらは1年ほど前の録音なのですが・・・ぱくっちゃだめ!)3曲目はハンコックらしいピアノがフィーチャーされた「Little One」。4曲目はロンのベースが軽快に徘徊する「R.J.」。特にこの曲などを聴くと、このバンドがもはやモードではなく、ポスト・モードを模索していることが明らかになります。

トニーのドラムソロから始まる5曲目「Agitation」。60年代のライブでは、何度となく演奏される曲ですが、マイルスのミュートの刻みが、やはり見たことも聞いた事のない世界を繰り広げます。はい、かっこいいでしゅ。トニー谷ではない、トニーのシンバルもロンのワンダリング・ベースもいけてます。大人の匂いがぷんぷんします。違う意味で大人のショーター作6曲目「Iris」。メガネのCMソングではありません。敬意を表してショーターがソロをとります。成人男性のバラッドでしゅ。ラストは「Mood」、こちらも大人の匂いぷんぷんむれむれのスローでダルなマイルス・ミュート。マイルス流「熱い時代に一撃」なのでしょうか? お休み前の、ナイト・キャップに!

このアルバムが録音された1965年と言うのは、2月に北爆開始、同月ブラック・モスリムの指導者マルコムX暗殺、11月にはワシントンでベトナム平和大行進がありました。人種差別撤廃運動が佳境を迎え、また東西代理戦争がベトナムを舞台に本格化した、そんな混乱と激動の時代。そしてJAZZでは、フリーとファンキーの真っ向勝負に、ハンコックらの「新主流派」が乱入する、そんな時代だったのです。「今夜は何にする?」「そうだなー、大人のカレーにしようか!?」ってな会話が聞こえてきそうなジャケットは、マイルスと当時の夫人フランシスです。んーJAZZっぽくない、うん。さてさて、モードの着ぐるみを脱ぎ捨てたプラチナ・クインテット、明日はどこに向かって漕ぎ出すのやら・・・

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ここで視聴できますよ!

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