2006.08.24
「100年の時を超えて・・・」
WIRED by Jeff Beck (1976)
木曜日になりました。昨日はおとといの出血騒ぎから一夜明け(そんなすごいもんかなぁ)、朝起きようと思うとひどい頭痛にめまい、胃の痛みが重なってよろよろと布団に舞い戻りダウン、一日休養させていただいておりました。お約束させていただいおりました方々には、大変御迷惑をおかけしました。どうやら私のささやかな元気より、夏の暑さのほうが勝っていたようです。私の負けです、完敗です、トホホです。それで、夕方までマーラー君と一緒に過ごしました。マーラー君というのは室内犬の名前でもなんでもなく、グスタフ・マーラーのことです。夜はWeb講習がありましたので、なんとしてでも出なければいけない。這ってでも、いや普通に歩いてゆきましたが・・・社長不在の間にもいろいろとお仕事をいただいたようで、ありがたいことです。
今日は午後からお客様を訪問。いよいよ具体的な形になってきました。とっても楽しみです。途中、ブログを読まれたお得意様から心配のお言葉をいただきました。御心配をおかけしました。温かいお言葉、身にしみております。夜は、療養中にもかかわらず同友会の例会に、担当副幹事長という責任感に後押しされた気力だけで参加、「今日は体調が悪いから!」って言っておいたのにABOSHIさん! このー裏切り者! そんなこんなで、もう週末に突入ですね! ちなみに今日は私の○回目の誕生日でもありました。
昨日は、日がな一日マーラーのシンフォニーのはしごをしていました。ちょうど1世紀前に作られた交響曲群。第一から聴いていったのですが、やはり素晴らしい。1世紀前の深い森の蒼、やきらめく星とその舞台となる宇宙の闇、木々の間を静かに抜けてゆく朝もや、小鳥のさえずり小川のせせらぎ。そして1世紀前も同じように、生きることに苦悩する人間の心の葛藤。そんな生きとし生けるものの1世紀、いや永遠に続く営みが現れては消え、また現れて・・・あるべき自然や宇宙にすっぽり包まれながら、疲れた体と心を癒しておりました。私の究極のヒーリングですか!?それにしては、うるさい曲が多いのですが・・・まあ、自然だって優しい顔ばかりではないですからね!
でも、こうやって1世紀経っても感心して聞く人間がいる、見る人間がいる、これが芸術の本質なのでしょうねぇ。そういう意味ではかつて誰かが言った「芸術とは大自然の模倣である」と言う言葉は、あながちはずれではなさそうです。そんなこんなで英知を養うところまでは辿りつけてはいませんが、なんとか社会生活が送れる程度には埴輪が復元いたしました。また明日から、トホホ社長、前進です。
お盆を過ぎて朝夕の風には、かすかに秋の香りを感じる今日この頃ではありますが、昼間は暑ーい! 全くもって、暑ーい! で、暑さをぶっ飛ばすぜい! 第3弾!(いつからやってたっけ、そんなの???)今夜も懐メロ・ロックで行きます。ジェフ・ベックの「WIRED」です。
ジェフ・ベックと言っても知らない人が多いはず・・・えっ、誰も知らない? 失礼いたしました。彼はイギリス出身のギタリストで、クラプトン脱退後の「ヤードバーズ」、ロッド・スチュワートやロン・ウッドらが参加していた「ジェフ・ベック・グループ」、ポール・ロジャース招聘に失敗した「ベック・ボガード・アンド・アピス」を経て、75年にソロアルバム「BLOW BY BLOW」を発表します。いやー、どうです、蒼々たるブリティッシュ・ミュージシャンの顔ぶれでしょう!(って、わかんないか・・・)そして翌76年に出したのが今夜の「WIRED」でありました。「ブルース」「ポップ」「ブラック」などのさまざまな変遷を経て前作「BLOW BY BLOW」あたりからは、当時流行していたジャズ・フュージョンに急接近します。
ギタリストと言えば、クラプトンかジミー・ペイジかリッチーか・・・確かに御三家です。でも、かのポール・ロジャースに「ロック・ギタリストには2種類しかいない。それはジェフ・ベックとそれ以外だ!」と言わしめた彼(ジョン・ポール・ジョーンズが言ったという説もありますが・・・)。それはそれは、コアなロック・ファンの間ではやはり神様なのです。アルバム「WIRED」、前作に比べて超荒削りで、それはもう真夏のうだる暑さの中でしか聞けないすごい、すごすぎるアルバム、これは「影のギターの神様」ジェフ・ベックの代表作なのです。
1曲目「Led Boots」、「赤い靴っ、履いてた〜女のこ〜」ではありません。いきなりこのアルバムのハイライトなのです。チョーカッコイイリフに涙がちょちょきれます。どうだとばかりのオープン&クローズド・ハイハットの息つく暇もないナラダのドラミング。2曲目「Come Dancing」、タイトなツイン・ドラムスにのせてベックらしいフレーズがややスローに流れます。なんといいますか、かつてのブリティッシュ4気等の荒々しくも頼もしいという感じでしょうか? 渋いです。3曲目「Goodbye Pork Pie Hat」は、「ベック聴かせの曲」。チャールスミンガス作のこの曲、なんかベックの為に作ったの?って感じ。ギターうまいです、しびれます、泣かせます。A面のラストを飾るのは「Head For Backstage Pass」。16ビートがベック・フレーズをあおり、それに応えてベックも畳み掛けてきます。どうなんでしょう? いやはや、すごいんです。
さて、アルバムB面になりました。(今聴いてるのはCDですが・・・)1曲目「Blue Wind」、ヤンハマーとベックの2人による多重録音ということで当時話題になりました。この光速疾走感、たまりましぇ〜ん。でも、正直ハマーのドラム、下手です、はい。2曲目「Sophie」、メランコリックなメロディとハーモニーの重奏曲。違った意味、泣かせます。途中の転調からのドラミングがまたかっこいいー。3曲目「Play With Me」ファンキーなクラビネットから始まるこの曲は、なんだか暑かった夏も終わるよって言ってる感じ。そしてラストの「Love Is Green」に静かに移り変わります。生ギターが、そして電気ギターが過ぎ去った夏、過ぎ去った恋を綴り歌い上げます。もう、二度と戻っては来ないんだと、二度と手にすることはないのだと・・・もうすぐ、2006年の夏も終わります。あなたの手の中には、どんな夏の思い出が残りましたか?