2006.12.13
男たちの大和 vs. 戦艦大和
随分と話題になり、それも結構高齢の方を映画館に運んだというのですが、ようやく自宅で見させていただきました。さて、この映画をどういう風に見たものか・・・。
幼少の頃から戦争ものが好きでした。その話は以前このブログにも書きました。数知れず作ったプラモも軍事物兵器物がほとんどでした。中学生のぶんざいで「丸」を購読して親を心配させたこともありました。戦艦大和は私にとって、帝国海軍の象徴的存在であり、昭和20年までの日本の象徴だったともいえるでしょう。だから、大和の模型を作るときには、「男、一世一代の大仕事」みたいな気持ちで取り組んだものです。
ただ、知ってる人は知っている、戦艦大和は実戦をほとんどしていません。
1941年(昭和16年)12月、呉海軍工廠で竣工。
1942年(昭和17年)6月、ミッドウェイ海戦に参加(実戦はしていない)。戦いは日本側が主力の航空母艦4隻(赤城・加賀・飛龍・蒼龍)を撃沈され敗北します。米側の航空母艦の損失は1隻(ヨークタウン)のみ。
1943年(昭和18年)12月、米潜水艦スケートの雷撃を受け、魚雷1本が右舷に命中、初めての損傷を受けます。この後、呉海軍工廠にて修理と共に高角砲や機銃等の増設といった対空防御の為の改装工事が行われました。
1944年(昭和19年)6月、マリアナ沖海戦に参加。実戦で初めて主砲を発射しました。ただし対空射撃ですが・・・。この海戦で日本側は航空母艦3隻(大鳳、翔鶴、飛鷹)を失ってこれまた敗北します。
1944年(昭和19年)10月、栗田艦隊の1艦としてレイテ沖海戦に参加。小沢機動艦隊(悲しいかな日本側残存空母群)が米空母部隊をおびき寄せ、その間に栗田艦隊ら戦艦部隊がレイテ湾に突入、上陸中の米艦隊に殴り込みをかけ、マッカーサーを討ち取ろうというこんなオプションもあり?作戦でした。大和はサマール沖で偶然、敵護衛空母群に遭遇、自慢の46cm主砲を発射しますが、砲弾が貫通しただけで沈没には至らず。その後、歴史上有名な「謎の反転」で栗田艦隊はレイテ湾突入を諦めてしまいます。この海戦において日本側は、大和の同型艦である武蔵をはじめとして多くの艦艇を失い、連合艦隊は事実上、壊滅しました。ちなみに、このサマール沖海戦が、水上艦艇に対する最初で最後の大和の主砲攻撃だったのです。
1945年(昭和20年)4月、沖縄に上陸した米軍を殲滅せんと、大和は水上特攻部隊として沖縄に向け出撃します。「天一号作戦」です。大和に従うのは、軽巡洋艦矢矧に駆逐艦雪風・磯風・浜風・朝霜・霞・初霜・冬月・涼月のわずか9隻。しかし、翌日には米艦載機386機が来襲、大和は爆弾6発、魚雷10本以上を受け、午後2時23分、九州坊ノ岬沖90海里の地点で約3000名の乗組員と共に海底深く沈没しました。実は同型艦の武蔵は魚雷20本に爆弾25発以上をうけて沈没したらしいのですが、これは米航空部隊の作戦の精度がこの頃よりかなり上がっていたことが最大の理由だと思います。
「天一号作戦」 田宮模型サイトより
で、この「天一号作戦」がこの映画だったのですが・・・
臼淵大尉(長嶋一茂)の(映画ではなぜか渡哲也扮する伊藤第二艦隊司令長官が言ってた・・・)「負けて目覚める」の名言を小説「戦艦大和の最期」(吉田満著)から引用しますと、
「進歩のない者は決して勝たない、負けて目覚めることが最上の道だ。日本は進歩ということを軽んじすぎた 私的な潔癖や徳義にこだわって、真の進歩を忘れていた。破れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか。今目覚めずしていつ救われるか。俺たちはその先導になるのだ。日本の新生にさきがけて散る、まさに本望じゃないか・・・」
・・・・・(絶句?)
大和は確かに優れた軍艦であり、少なくとも当時の日本の技術力の結晶でした。しかし無謀を承知で一言で言ってしまえば、技術だけでは戦いに勝てなかった、時代のニーズに合ってはいなかったということでしょうか?大和は、良くも悪くも日本の象徴であり、情緒で戦ったかつての戦争の象徴でもあったと思うのです。
えっ?映画ですか・・・そんなことばかり考えて、あまり見てませんでした、はい。まあ私にとってはそんな映画でした。
出演: 反町隆史、中村獅童、渡 哲也、仲代達矢、鈴木京香
監督: 佐藤純彌 2005年作品
以下はアマゾンのサイトからの引用ですが・・・個人的には「どうなの???」
2005年4月。鹿児島県の漁師・神尾(仲代達矢)はかつて戦艦大和の沈んだ地点まで一人の女性・内田真貴子(鈴木京香)を連れて行くことに。かつて大和の乗組員であった神尾は、およそ60年前の、あの戦争の日々を思い起こしていく……。辺見じゅんの同名ドキュメント小説を原作に、『新幹線大爆破』『未完の対局』などの巨匠・佐藤純彌監督が手がけた戦争超大作。実寸大の大和を建造しての撮影はリアルな迫力に満ちており、また当時の若者たちの厳しく熱く、そして哀しい青春群像が魅力的に綴られるとともに、組織と個人の関係性にこだわり続ける佐藤監督ならではの鋭い軍隊批判が垣間見られていく。戦時下の女性たちの描写もさりげなく描かれているのもいい。戦闘シーンの迫力は日本の戦争映画で最大規模のものであろう。その上で60年後の現代と対比させながら、明日への希望を示唆する構成も大いに功を奏しており、まさに今の時代ならではの深く温かい人間ドラマの傑作として屹立している。(増當竜也)
BOSS的には・・・★☆☆☆☆
東映
2006-08-04
Amazon.co.jp ランキング: 2471位
おすすめ平均:
映画としての出来は褒められたものではないが
欠点の目立つ映画
海の恐竜「大和」は進化の袋小路に迷い込んだかのようにして滅びていった・・・・。
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