2007.02.14

CLASSICS

フェリックス・メンデルスゾーン 交響曲第3番 イ短調 Op.56 「スコットランド」(1842年)

かのワーグナーをして「彼は音による第一級の風景画家だ」と言わしめたメンデルスゾーン。そんなメンデルスゾーンの残した5曲の交響曲のうち最も有名なのがこの3番「スコットランド」です。「スコットランド」という表題付きのこの楽曲は、彼のスコットランド心象が全編を通して表現された美しい曲となっています。

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寂しくも美しいその風景、荒涼とした古城、女王メアリー・スチュアートの悲劇。彼のヴァイオリン協奏曲同様、4楽章が切れ目なく演奏されるこの曲は、彼の心象を描いた一大幻想曲となっています。全楽章がソナタ形式という保守的な構成でありながら、第二楽章がスケルツォ風、第3楽章がアダージョと、当時としては珍しい試みがなされたいます。ホリドールの古城で思いついたといわれる幻想的な序章で始まる第一楽章、スコットランド風のヴィバーチェ第二楽章、この上なく美しいアダージョ、そして輝かしくもどこかしらに悲しさを秘めた終楽章。

彼の交響曲の特徴は、木管楽器の使い方にあるといわれています。それが、壮大な自然を描きながらその美しさの中に物悲しさ、儚さを演出しています。この曲は、メアリー女王の子孫にあたるヴィクトリア女王に献呈されたそうです。十八番で言えば、アバド指揮ロンドン響ですが、ショルティ指揮のシカゴ響も、この曲の持つしなやかさと生命のエネルギーを感じる名演です。

この曲が完成した翌年の1843年、ライプツィヒ音楽学校を創立、自ら校長を務めながらピアノと作曲の教鞭をとります。しかし4年後の1847年、脳卒中により38歳の若さでこの世を去ります。

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