2007.03.09

CLASSICS

ヨハネス・ブラームス 交響曲第2番 ニ長調 作品73(1877年)

今日はブラームスの「田園」とも称される第2交響曲です。40歳近くになるまで交響曲第1番をなかなか世に出すことができなかった彼ですが、その結果がすこぶる好評だったことで自信をつけ、すぐさまこの第2の作曲に取り掛かります。着手から数ヵ月後には、クララにピアノで聞かせていたらしく、その年のクリスマスには完成した自筆草稿が彼女にプレゼントされます。断っておきますが、クララは御存知、シューマンの奥さんです。

この曲に着手した年から、夏になるとブラームスは南オーストリアのアルプス山脈に囲まれたペルチャッハを訪れるようになります。美しい自然、質素で穏やかな人々の暮らし。そういうものに触れ、また苦労して作った第一番には盛り込めなかったさまざまなアイデアをこの楽曲の楽譜に載せたと言われています。この曲は、第一番の威風堂々とした古典派直系らしい構成力よりも、柔和で暖かく、生きとしいけるものへの暖かさと感謝の心に満ちています。この当時作曲されたヴァイオリン協奏曲やヴァイオリンソナタを聴くと、彼が思いのほか作曲当時の環境や生活、自身の心持に左右された人物なのかなと思ってもしまいます。第一番の例の苦悩から歓喜への展開はなく、全体に長調が支配する明るく穏やかな構成となっていて、彼の4作品の中では最もウィーン的と言われています。ということはBPOよりもVPO向き?

「沈みゆく太陽が、崇高でにごりのない光を投げかけている楽しき風景」と形容される第一楽章。暖かい牧歌的な木管とホルンによる第一主題に続き、変へ短調のヴィオラとチェロで奏でられる美しくも特徴的な第2主題に入ります。第二楽章はロ長調ですが、牧歌的な中にもどこかしら彼らしい哀愁感が漂っています。初演でアンコールされたという第3楽章ト長調は、チェロのピチカートに載せてオーボエがささやかな暖かさを奏でます。終楽章は再び主調であるニ長調に戻り、弦楽器だけで静かに始まりますが、ここは終楽章らしく華やかな楽曲となっていて、重厚な弦の響きと管楽器の対比によって第一交響曲と並ぶこの素晴らしいシンフォニーを締めくくっています。

ふと見えあげた夕焼けの空にふるさとを思い出す、そんな週末には是非聞いてみてください。オーソドクスなブラームスはザンデルリンク指揮ドレスデン響ですが、「愛」に溢れるモントゥー指揮ロンドン響、哀愁を帯びたバルビローリ指揮ウィーンフィルもお勧めです。個人的には、ウィーンフィルを鳴らしきっているサー・バルビローリですが・・・。

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