2007.05.16

万葉の旅

熟田津(にぎたづ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今はこぎいでな 額田王

第37代斉明天皇が新羅を討たんと九州を訪れる途中、伊豫の熟田津(現在の御幸寺山付近)に滞在した際に、額田王が読んだ歌です。「船出の時を待っていれば、明月に潮も満ち、さあ漕ぎ出そう」という意味。

額田王はもちろん女性なのですが、この歌が力強く感じるのは、同じく女性である斉明天皇(重祚前は皇極天皇)に対して、同性としてエールを送る意味があったのでしょうか?あるいは、新羅討伐に対する天皇の心持ちを代弁したのかもしれません。月光に輝く瀬戸内の海に出航しようとする様が、ありありと目に浮かびます。

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