2007.06.01
BOSSよ、どこへ行く・・・
今日は朝からなぜか社内のBGMで、モダン・ジャズが流れています。ちょっとマンハッタンかソーホーあたりのオフィスみたいな気がするのは私だけ?頭が壊れかけてるせいもあり、ここのところブログの内容がぶっ飛びすぎているような気もするので、ちょっと軌道修正して、今日はこれです。そうです、とうとうあれです。
Bithes Brew (1969)
1940年代ごろから今日まで、約70年近いJAZZの歴史の中で、いわゆる50年代のモダンジャズ、あるいはムーディなBGM音楽としてのJAZZから入っていって、その流れに身を任そうとするとき、川面のなかのその流れをせき止めるような大きな岩、それがこのアルバムではないでしょうか。JAZZファンでなくても、もちろんマイルスファンでなくとも、当時の音楽シーンに触れた方なら一度ならず耳にしたはずのこのタイトル。なんだかJAZZやマイルスの試金石みたいに語られ、多くの見込み客を失ってしまっているような気がします。
いや、言わせていただければ、別にいいんですよ、このアルバムは。マイルスファンだけがしかと聞けばいいし、JAZZを語るバイブルの一ページなどと大そうなことは考えなくても。100枚目のJAZZアルバムとして買っていただいて結構なのです。で私的には私のように、49年の「Birth Of Cool」からマイルスを見てきたマイルスファンが、60年代最後のアルバムとして聞けばいいし、また単純にマイルスのフリーフォームアプローチの終焉のひとつのカタチとして捉えればいいと思うのです。
で、本作「Bithes Brew」、5枚目のマイルスなんかとして聴けば、全く理解できないこのアルバムも、おばかに身を窶すマイルス者としていろいろと聴いてくると、何の違和感もなく体の中にすーっと入ってくる。ある意味これはとっても怖いことで、「マイルス狂」ならぬ「マイルス教」信徒とでも言いましょうか、まあ悲しい嵯峨なのであります。
ベースはあくまでもブルースやファンク・ロックなのですが、マイルスはここにきて、当時のメンバーで再び「ミントンズ」のジャムセッションに挑戦します。フーガやちょっとしたモチーフを出発点に、インプロビゼ−ションを繰り広げさせる。偶然を誘発し、変化を触媒する。しかしマイルスは全体を予定調和のなかに率いてゆく。だから、私にとってこのアルバムは、マイルスお得意の、スタジオでのトライアルセッションでしかないわけです。「Someday」が「Blackhawk」を、「Seven Steps」が「My Funny」や「Fore & More」を生み出したように。このアルバムで初めてパーカッションを取り入れたことで、マイルスの以降のよりリズミックな嗜好性を垣間見ることもできます。とにかく、トランペッターをインスパイアーするのは、やはり太鼓系ですからねぇ〜。
一般的には「ポリリズムと電気楽器の大胆な使用によって全く新しいサウンドを現出させ、70年代以降の音楽シーンを決定するほど大きな影響を及ぼす作品」などと称されるこのアルバム、当時のジャズメンがどれほどの驚愕を持ってこのアルバムを聴いたかは想像に難くはないのですが、私にとってはあくまでの69年のマイルスの試行のひとつであり、彼のアルバムベスト20位くらいでしかありません。「ナカヤマさん、ゴメンナサイ」。
おすすめ平均:
聴く人によって評価は分かれるでしょう
ややとっつき難いがジャズファンクの先祖的作品
当惑のファン
かっこいいんだよ
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