2007.07.06

万葉の旅

紫草のにほへる妹を憎くあらば人嬬ゆえにあれ恋ひめやも 大海人皇子(天武天皇)

前回の額田王の「あかねさす」の名歌に皇子が応えた歌です。人嬬(ひとづま)というのは、天智天皇の妻であることを指していますが、単に兄の妻に横恋慕しているわけではなく、額田王はご存知のとおり、先にはこの大海人皇子に嫁ぎ、その後天智天皇に嫁いだわけで、その理由は知りませんが、いまだにお互いが思いあっているさまが読み取れます。

「(紫野にかけて)紫色に香しいお前が憎いのであれば、もはや人の妻たるおまえにかように恋するはずがなかろう。危険を冒すのもお前のことを恋しいと思っているからこそなのだ」

ん・・・大人の恋ですなぁ〜。というか、さすがに皇室の方の歌だけあって、内容はそういうことであっても、力強くまた高貴な香りが漂います。私なんぞが歌えば、ただのスケベ親父になってしまうのですが・・・。いずれにしても、美しくも情緒に溢れた万葉の時代は素敵です。

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