2007.07.27

万葉の旅

ささなみの志賀の大曲(おおわだ)よどむとも昔の人に亦も逢はめやも  柿本人麿

いよいよ人麿の登場です。彼はこの前にご紹介した持統天皇の時代の歌人なのですが、この歌、天智天皇と天武天皇の狭間に起こった壬申の乱が関係しています。乱の後、天武天皇〜持統天皇が現在の奈良県橿原市あたりの藤原宮に遷都したことにより、天智天皇が築いたものの寂れてしまった近江大津宮を訪れて読んだ歌なのです。うん、短歌は歴史のお勉強にもなるのですねぇ〜!

さて、大津宮は志賀宮とも呼ばれており、「ささなみ」は小波のことではなく、このあたりの地名だそうです。意味は、「近江の湖水の大きく入くんだあたりでは、湖水も人恋しがって淀んではいるけれど、かつて舟遊びに興じた大宮人たちに再び逢うことはかなわない。」という意味です。人麿20代後半の作といわれており、まだまだ円熟とはいかないものの、彼らしい浪々とした歌風を、是非皆さんも味わってみてください。

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