2007.08.31

万葉の旅

阿騎の野に宿る旅人うちなびき寐(い)も寝らめやも古(いにしへ)おもふに  柿本人麿

天武天皇と持統天皇の子である草壁皇子の子である軽皇子(後の文武天皇)が、27歳の若さで即位することなく死去した父を偲んで、現在の奈良県宇陀市あたりに宿をとった際に、同行した人麿の読んだ歌です。人麿らしさがよく現れた一首ですが、実はこの阿騎の野が、かの有名な「ひむがしの・・・」で歌われる輝く野であり、同じ旅の時の歌なのです。これも人麿30歳頃の歌。彼のアイデンティティが現れ始めた、響きのよい歌です。

INDEX

CATEGORY

ARCHIVE