2007.09.26
CASINO ROYALE 邦題:007/カジノ・ロワイヤル
かの有名な007シリーズの最新作。007と言えば、泣く子は泣きっぱなし、知ってる人しか知らない、いやいやチョー有名ですよね。イアン・フレミング作のスパイ小説の映画シリーズ。21作目にあたる本作は、テレンス・ヤング監督の第一作「ドクターノオ」から44年にもなります。
息の長いシリーズ展開の果て、深海から宇宙にまで飛び出してしまい、好色ジェームスどこへゆく?スパイ映画というよりはSFアクションになってしまった。なわけで、17作目から登場した5代目のピアース・ブロスナン演じる007は、相変わらずシニカルでスマートなのですが、結構やられちまったりと人間臭くなりました。
私的にはとってもお気に入りのブロスナン・シリーズだったのですが、やはり彼のキャラクターが強すぎたのか、ヒーロー映画っぽくなってしまった・・・(のかな?)で、2006年21作目にして新しいボンドに物議をかもしつつダニエル・クレイグを起用、また原作者の1作目である「カジノ・ロワイヤル」に戻って、ボンド自身も「00(ダブルオー)」を与えられたばかりと言う設定で、あれもこれも心機一転を狙ったのですが・・・。
暗殺を2度成功させ、「00」に昇格したボンドは、初任務に国際テロ組織の資金源であるル・シッフルとの接触を命じられます。モンテネグロのカジノ・ロワイヤルでル・シッフルとの高額の掛け金のポーカー対決に出向く。資金の監視役に命じられたのが財務省のヒロイン、エヴァ・グリーン。いよいよ国家予算から調達した1500万ドルのポーカー対決が始まります。
まあ、前書きに書いたような紆余曲折を払拭すべく、初々しさというか人間臭さと言うか、失敗したり本気で恋に落ちたりと、「人間ボンド、奮闘す!」って感じなのですが、正直ちょっと向こう岸に降りすぎといいますか、なんだか彼の「いっぱいいっぱい」が緊張感とは違う胸苦しさを感じてしまう。「M」とのやりとりもウィットというより辛らつで、ユーモアがない、愛がない。
とにかくこれまでのどのボンドよりも、走り回り暴れ周り転げまわるのですが、逆にそれがMI6っぽくない。スパイってもうちょっとこう知的といいますか、つまりスマートなんじゃないの?大抜擢のダニエル・クレイグも、どうも私的にはトゥームレイダーの印象が強くて、煮え切らなさがかっこよさまで昇華しない。やっぱりボンドは、かっこよくてスマートで、だからいい女とできちゃっても許せるわけで・・・(笑)。
まあこれは、ゴールデン・アイ以来4作ぶりの監督となったマーティン・キャンベルとの「負の相乗効果」かもしれません。「ゾロ」と「ボンド」では、勝手も違います。
ヒロインのエヴァ・グリーンは1980年生まれのフランス人。母親はなんと、かの「雨の訪問者」の主演女優マルレーヌ・ジョベール。エンポリオ・アルマーニのモデルに起用され、ジョルジョの紹介でハリウッド・デビューしたらしい。うん、美しい。ってか、やっぱボンドとバランス悪いし・・・。彼女の美しさは古典の中にあるような気がするのですが・・・史劇とか・・・。それとも、やっぱ「EA」マークの向こう側でスチールに納まってて欲しかったかな?
さてこの映画をどなたにお勧めすべきか・・・。ラブロマンス派?アクション派?スパイもの?どれもムツカシイ・・・。いずれにしても、過去の007を見たことのない方へ!コアなファンには(それなら劇場で見られてますよね!)かつての007シリーズはBOXセットの発売と共に完結したということで。まあ、見たい人に。ちなみにボンドの愛用銃は18作目以降のワルサーP99でございます。
BOSS的には・・・★★☆☆☆
出演:ダニエル・クレイグ,エヴァ・グリーン,マッツ・ミケルセン,ジュディ・デンチ,ジェフリー・ライト,ジャンカルロ・ジャンニーニ
監督:マーティン・キャンベル 2006年