2008.02.16
博士の愛した数式
結構有名になったので、劇場でご覧になった方も多いかと・・・。交通事故により記憶障害となった数学博士と、その博士の世話をすることになった家政婦、彼女と暮らす10歳の息子の、3人の心の交流を描いたヒューマンドラマ。
新しくクラスを受け持った数学教師(吉岡秀隆)のあだ名は「ルート」。それはかつて彼が小学生の頃、シングルマザーの母親(深津絵里)が家政婦として勤めた家の、ある数学博士(寺尾聰)がつけてくれたものでした。そして物語は彼が10歳の頃に遡ります。
記憶が80分しか持たないため、博士と家政婦の母にとっては毎日が初対面。ある日、彼女に10歳の息子がいることを知った博士は、家に連れてくるように告げます。3人にとっては、穏やかな日々が始まるのですが、博士には隠された過去が・・・。
物語の中で、数学がただの数字の学問ではなく、あたかもギリシャ神話のように語られます。そして博士の愛した数式とは、
e iπ + 1 = 0
映画では「オイラーの公式」と紹介されていましたが、正確には「オイラーの等式」。自然対数の底であり永遠に続くオイラー数「e」、−1の平方根つまり世の中には存在しない虚数と呼ばれる「i」、そしてこれも永遠に続く円周率の「π」。この全く関係のない3つの定数が単純な等式で表される特殊な方程式で、「人類の至宝」とも呼ばれています。
この数式は、博士と母と息子の3人を指し、また博士の秘密にも当てはまります。穿った見方をすれば、人間も一人一人が無限の可能性を秘めている。そして、人は時に運命的な出会いを通して、固く結ばれる。そういうことを、作者は言いたかったのではないでしょうか?(原作は読んでいません、すいません。)
映像としては、特に可もなく不可もなくといいますか、ありきたりの作品です。ひとえに寺尾聰の名演に支えられてる。劇中の対比としての彼との相性はいいのですが、個人的には吉岡秀隆って、あまり好きではないんですよね・・・。
まあ、オーソドックスで小ぶりのヒューマンドラマとして見れば秀作ですが、ラストシーンはちょっとどうなんって感じです。もうちょっと、いい演出があったような気がするのですが・・・。私が監督だったら・・・。
出演:寺尾聰,深津絵里,齋藤隆成,吉岡秀隆,浅丘ルリ子
監督:小泉堯史 2006年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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