2008.02.24

空の写真館

さようなら

絶えがたき嘆きが
この胸をひき裂き
君を愛したかの血潮は
黒々とした吐血となり
闇の静けさの中に
音もなく流れ出る

やがて息も絶えるであろう
この痛みに死するであろう
命に身をやつすものが
必ず迎えるべき終焉

あの日あの夜
あまい夢の中で
君は我がものとなり
月の光の中で輝き
夜のしじまに身をひそめた

命よ その光よ
なぜ私たちを
こんなにか弱い私たちを
照らしつづけては
くれないのか

冬の木枯らしの中に
むごたらしくも投げ込んで
死することを
絶えることを
望み許すのか

やがてこの恋は
いつかどこかで
違う二人のあいだに
生まれ来るものかもしれない

私たちのように
絶望的な終わりを伴って

心のままに飛ぶ鳥よ
はばたけこの大空を
今はまだ
お前にはある
この大空を

私といえばただ
命の途絶えるときを
そんなお前を見送りながら
しだいにかすみゆく
さまざまな記憶とともに
永遠にその物語を閉じよう

永遠

あの時誓い合った永遠が
終わりと言う名で
続くことに

はじめて気がついた
そんなわたしを
そっとひとりに
しておいてくれ

さようなら

ずっと

さようなら

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