2008.04.12

Movies

赤い月

日中戦争のさなか、満州を舞台に激動に時代を生き抜いた女性を描いたヒューマンドラマです。原作は作詞家から作家に転じたなかにし礼。監督は網走番外地シリーズや極道の妻などの任侠もの、そして鉄道員やホタルなど、日本映画界屈指の名監督である降旗康男、主演は常盤貴子です。

函館で酒蔵を営んでいた森田勇太郎(香川照之)と妻の波子(常盤貴子)は、波子の元恋人である陸軍中佐大杉寛治(布袋寅泰)と関東軍の庇護の下、1934年大望を抱いて子供たちと満州に渡り牡丹江で酒蔵を始めます。10年後、長男の卒業帰郷を祝う祝宴で、一人の商社マン氷室啓介(伊勢谷友介)を紹介されます。しかし実は氷室は関東陸軍秘密情報機関の優秀な諜報員でした。

諜報部は、ロシア人男性のピョトールをスパイとして利用すべく、娘エレナを人質として監視するため、家庭教師として森田家に入れます。いつしか氷室に恋してしまった波子は、氷室と愛し合うようになっていたエレナに嫉妬、彼女を情報部にスパイだと密告して、二人の仲を裂こうとするのですが・・・

物語はこのあと、戦局の悪化から波子と子供たちが氷室の助力で牡丹江を逃れ、哈爾浜に避難。そこで、別れ別れになっていた夫や氷室と再会するこのとになるのですが・・・。

彼女は、ある意味放漫な愛に生きた女性です。そして後半の死と隣り合わせの生活の中でも、「愛」こそが生きる証であり、「愛」のために生き、また生きてこそ「愛」を実践できるという信念を貫きます。

実はその辺の彼女の内面の表現がイマイチで、ちょっと感情移入といいますか、同情しにくかったのが残念。ついつい、「おいおい!」って思ってしまう。彼女が主人公なのですが、時代の変化が大きすぎて、焦点がややぼけてしまってる。人物像をもう少し、オトナの、デキルいい女として描けば、また違った映画になったような・・・。

それにしても伊勢谷友介、男前です、わたし好みです。(笑)あと、香川照之が思ったより下手だったなぁ。時代性や立場を表現するための演技かもしれませんが、下手としか思えなかった。伊勢谷ももうちょっと自然な表現でもよかったような気がします。この辺は、時代考証のこだわりすぎなのかも。もっと現代風のアレンジでもよかったのではないかと思います。

映像やカット、カメラアングル、脚本はなかなかでした。シーンと音楽の組み合わせも、ついつい常盤貴子を「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーとか「ひまわり」のソフィア・ローレンと重ねてしまう。ちょっと彼女にはかわいそうですが、和製としてはまあまあかと。実際、ひまわり畑も出てきますし・・・。

あれこれ、もう一工夫欲しかったとは思いますが、久々に納得の邦画を見させていただいた感じです。

出演:常盤貴子,伊勢谷友介,香川照之,布袋寅泰,

監督:降旗康男 2003年

BOSS的には・・・★★★☆☆

赤い月

東宝
2004-09-25
Amazon.co.jp ランキング: 47611位

おすすめ平均:2
2駄作
5これは傑作だ
1大河

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