2008.05.19

CLASSICS

カミーユ・サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」(1886年)

前回のサン=サーンスの投稿から2年と2ヶ月も経ってしまいました。今日は彼の唯一といっていいシンフォニーであり、フランスを代表する交響曲でもある第3番をご紹介します。

サン=サーンスは、「動物の謝肉祭」で有名なように、かなりの皮肉屋だったようです。しかしこれは、実は博識ゆえのことであり、こと音楽家としても「フランスのモーツァルト」と呼ばれるほど、幼い頃から神童振りを発揮していたようです。

ピアニスト、オルガニストとしても名をはせた彼は、他にも詩人であり数学者・天文学者としても一流の名声を得、また画家でもありました。

そんな彼が51歳の時に、彼の持つ資質のすべてを注ぎ込んで作られたのが、今日ご紹介する3番交響曲です。

この曲は、4つの曲から出来ていますが、一般的な交響曲の四楽章構成ではなく、二楽章がそれぞれ2部の構成となっています。そして、交響曲でありながら2台のピアノがあちらこちらにちりばめられていて、圧巻はなんといっても荘厳なオルガン演奏です。

第一楽章第2部からこのオルガンが登場し、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとともに奏でる祈るような美しいコラールは、まるで宗教音楽を聴くように感動的です。

弦楽器と3個のティンパニによる力強い主題演奏の第二楽章第1部の後、バーンとオルガンで始まる第2部は、最後にすべての楽器がフーガ風にクライマックスを構築します。それはまるで、壮大な音の大建築であり、「楽譜が重箱の隅をつつくようにシステマティックすぎる」とライバルのドビュッシーに酷評された、精緻な装飾の施された天を貫く大伽藍のようです。

ドビュッシーに代表される印象主義音楽が台頭するなか、生涯にわたって古典主義やロマン主義を擁護する姿勢を崩さなかった彼の、しかし新しいものを求めようとする試みの頂点が、この曲ではないでしょうか?

彼が生きた時代は、ロマン主義と現代音楽の狭間の過渡期でした。春も過ぎ、そこかしこに夏の気配を感じる今頃の季節に、ぴったりの曲ではないでしょうか?

〔CDきいてみてちょ〕
■シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団

「どのフランスのオケよりもフランス的」と称される、シャルル・デュトワ指揮のモントリオール響の演奏は、どこまでも澄み切った音色と緻密な構築美で、ドイツ物とは異なり、この曲があくまでもフランス物であることを伝えてくれます。1枚目はまずこれからですね!

サン=サーンス:交響曲第3番

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おすすめ平均:5
5ハイレベルなサンサーンス3
5文句なしのこの曲のベスト
5デュトワらしい美しい演奏

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