2008.05.15
古(いにしえ)に恋ふる鳥かも弓弦葉(ゆずるは)の御井(みい)の上より鳴きわたり行く 弓削皇子
天武天皇の第6皇子の弓削皇子(ゆげのみこ)が、持統天皇とともに吉野に行幸されたときに、京に残った年老いた額田王に贈った歌です。
ここでいう古とは、弓削皇子の父である天武天皇とその時代のことであり、鳥はホトトギスだそうです。季節はちょうど今頃の時期でしょうか?弓弦葉はユズリハのことで、別名「親子草」とも呼ばれています。
弓削皇子が吉野に縁の深い父を思い起こし、「この鳥は、昔を思い慕って鳴く鳥であろうか?今、弓弦葉の御井のほとりを飛んでゆくではないか・・・」と歌ったんですネェ〜。贈られた額田王も、さぞ感慨にふけられたことでしょうね。
普段の切った張ったの毎日の中でも、こういう柔らかい物腰を忘れないでいたいものです。なかなかムツカシイですが・・・。
親子草であるユズリハに、子の親を偲ぶ思いを重ねるなんて、私のような無教養な人間にはとっても真似のできる芸当ではないですが、せめて週末には、ココロの洗濯をかねて、ユズリハに鳴くホトトギスでも探しに出かけましょうか?